2009年01月23日掲載記事より
甘木鉄道 甘木駅 (福岡県朝倉市)
古代から続く“のどかさ”
朝倉地方の玄関口でもある甘木鉄道・甘木駅。駅舎は1939年4月の開業以来、そのままだ
「日本発祥の地」をうたう石碑。上野春樹さんは「建立から20数年がたち、朝倉市のシンボルになったのでは」と話す
駅頭に立つとほっとする。背の高いホテルやマンションが視野に入りはするが、誰もがその向こうのだだっ広い空を容易に想像できるだろう。
第三セクターの甘木鉄道・甘木駅は、北部九州の穀倉地帯・筑紫平野のほぼ真ん中に位置する。古代からの稲作地とされることに加え、駅から約4キロ離れた平塚川添遺跡で弥生時代の大規模環濠集落跡が見つかり、「邪馬台国」論争の舞台の1つとなってきた。
論争は今なお続く。にもかかわらず、駅前広場に立つ巨大石碑には「日本発祥の地 卑弥呼の里 あまぎ」の文字が堂々と彫り込まれている。石碑は、甘木線の廃線を決めた旧国鉄から運行を引き継いだ甘木鉄道の開業に合わせ、甘木商工会議所(現朝倉商工会議所)青年部が寄贈した。
「市職員から『ここまではっきりと書かなくても』と怒られましたよ」と当時、青年部長だった上野春樹さん(61)は愉快そうに振り返る。邪馬台国の所在地争いを優位に進めようとする考えは毛頭なく、「新たな出発となる駅のシンボルをつくりたい」と願い、仲間や資金集めに奔走して碑を建てたという。
「豊かな自然、のどかな風景…。古代から変わらぬ甘木の素朴な魅力を伝えたかったのです」-上野さんは、石碑の言葉に託した思いをそう教えてくれた。
取材を終えて去り際に、列車を降りた女子高校生が、車両とホームのすき間に定期入れを落としたのが見えた。手助けをしようと歩みかけたら、気付いた運転士が3メートルほど車両を後退させて線路から拾い上げた。定期入れが戻った女子高校生は笑顔で「ありがとうございました」。
都市部の駅ではまずお目にかかれない、のどかな光景だった。
(朝倉支局・沢辺克己)








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