2008年04月25日掲載記事より
JR豊肥線 水前寺駅 (熊本市)
青春の薫りが漂うホーム
通学の足として活躍する2両編成のワンマン列車。朝夕は学生服の高校生で満員になる
若者の利用が多い駅の特性に合わせ、改札口の隣には若年向けのハローワークも併設されている
ホームの主役は、今も昔も制服姿の学生だ。
熊本市の文教地区、水前寺にあるJR豊肥線の水前寺駅。北口正面にある県内有数の進学校、熊本高校をはじめ、周辺には10近くの大学や高校が点在する。1日約5000人の乗降客数の6割を通学生が占めるという。
「50年前も朝夕は高校生がぞろぞろ歩いていたわね。遅刻しそうな生徒はホームを飛び降り、レールを横切って校門に駆け込んでいたわ」と、駅近くに住む清水玲子さん(72)。
蛮(ばん)カラの雰囲気をまとう学生が闊歩(かっぽ)した当時、駅周辺にあったのは旅館、材木屋、電器店、理容店。邦画を安く上映する映画館もあり、汽車の待ち時間をもてあました学生が利用した。部活帰りの生徒は、駅前の食堂で空腹を満たした。
時代は移り、映画館や食堂があった場所や、貨物線が敷かれていた線路沿いの土地には今、マンションが並び立つ。ホームから見上げる空は、いくつもの窓が並ぶ壁面で区切られている。
新学期が始まったばかりの夕刻。携帯電話を取り出して画面を眺める男子。教室のうわさ話で盛り上がる女子グループ。そんなホームの端のベンチに座っていた真新しい制服の少年は15歳、高校1年生だという。
熊本市に隣接する町との間を毎日、列車通学する。福祉関係の仕事に就くのが将来の希望。高校生活の印象を尋ねると「自由」という答えが返ってきた。
「ホームに降りると、中学時代にはなかった開放感がある。ちょっと大人になった気分」
赤とシルバーに彩られた二両編成の列車がホームに滑り込み、学生服の集団が乗り込んでいく。青春を運ぶ線路はどこまでも、無限に続く。
(熊本総局・山本敦文)







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