2007年11月09日掲載記事より
JR指宿枕崎線 西大山駅 (鹿児島県指宿市)
無人でも出会いは温かく
JR最南端を示す標柱の向こうには開聞岳が見える
西大山駅の「思い出ノート」を管理し、ボランティアのもてなしをする金子勝男さん、庸子さん夫妻
駅舎はない。ホームは上下両用。駅員もいない。周囲にはサツマイモ畑。一見、何もない駅に注目が集まっている。内外から週末だけで月に千人を超える人が訪れる。
気動車から降り立つと、ホームの端に「JR 日本最南端の駅」の標柱。その向こうに「薩摩富士」として知られる開聞岳がそびえる。愛知県蟹江町の検査技師、小貝麻子さん(33)は「9月には最北端の稚内駅に行ってきた」と笑顔を見せた。
ここは北緯31度11分。2003年に沖縄の「ゆいレール」が開業するまでは「日本最南端」だった。それだけで、これだけの人が集まってくるわけではない。
10月までの土曜と休日に、麦茶と手作りの菓子で旅人をもてなしたボランティアがいる。車で数分の場所に住む金子勝男さん(63)と庸子さん(61)夫妻。日焼けした明るい笑顔と気さくな人柄が訪問者を引きつける。
夫妻はもともとの住民ではない。横浜市から引っ越してきたのは昨年5月。会社員だった勝男さんは「定年後は暖かい場所で」と考えており、鹿児島市出身の庸子さんが両親の病気見舞いの合間に見つけた、この土地に自宅を新築した。
以前、沖縄旅行中に地元の人から受けたもてなしをヒントに、今年4月から始めた活動は、ほかの住民にも広がり、果物や焼き芋なども振る舞った。みんなで周辺の雑草を刈り、南国らしくハイビスカスなどを植えた。
旅人が思いを記入する「思い出ノート」も前任者から引き継いだ夫妻は「多くの人と出会えるのは楽しい」。冬の間はお茶などのもてなしは休止。春からはどんな活動を続けようか、夫妻は早くも思いをはせている。
(編集委員・大西直人)







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