2011年05月16日更新

伐採された杉の切り株の上に育った〝2代目〟の杉「二代大杉」

杉の舎仙人村の屋久杉を使った箸作りの様子

白谷雲水峡には、険しい道もある。登山靴などトレッキングの準備が必要
福岡から九州新幹線と高速船を乗り継ぎ鹿児島県・屋久島へ-。縄文杉で有名な島には、島特有の気候や地形が育んだ見どころがたくさんある。電気自動車(EV)のレンタカーに乗って、島内を散策してみた。
まず、樹齢3千年の弥生杉が見られるトレッキングコースのある「白谷雲水峡」に向かった。道すがら、ヤクシカやヤクザルに遭遇した。EVは車内が静かで、窓を開ければ木々のざわめきや小川のせせらぎも楽しめる。
白谷雲水峡の入り口は標高600メートル。「島の南側は亜熱帯気候だから薄着で済む」と思っていたら、けっこう肌寒い。島で一番高い宮之浦岳(1936メートル)の山頂付近は、年間平均気温が札幌市と同程度という。
観光ガイドの寺田九州男さん(59)は「(地形や気候のおかげで)屋久島は日本中の植物が楽しめる」と話す。トレッキングコースには、珍しいシダやコケが多数分布する。ただ、楽しむには観察眼が必要。寺田さんのガイドがなければ、かなり見落としていた。
伐採された杉(初代)の切り株の上に育った“2代目”の杉「二代大杉」や、川が岩盤の隙間を滑り落ちる「飛流おとし」もある。弥生杉は太さ、高さが、風格と長い年月を感じさせた。
続いて、屋久杉材の箸を作れる「杉の舎仙人村」(鹿児島県屋久島町宮之浦)を訪れた。材料の屋久杉は、過去に伐採された切り株や台風などによる倒木。工芸職人の中島政信さん(64)の指導のもと、素材をノミで削り、箸の形にしていく。カヤの根を束ねた「うづくり」で磨いてつやを出したら完成。時間にして40―50分程度だ。素材本来の形を大切にするため、真っすぐな箸に仕上がらないこともご愛嬌(あいきょう)。中島さんは「屋久杉にじかに触れて歴史を感じてほしい」と笑顔で話す。
下り坂となる帰り道でEVを充電モードに切り替え、走りながら充電した。島内の屋久島環境文化村センター(屋久島町宮之浦)や鹿児島県屋久島事務所(同町安房)は、充電器の使用が可能だ。島内電力の約99%(2008年度)は水力発電で補っており、使用する電気もクリーン。環境保全に配慮しつつ、大自然を堪能する旅となった。
●CO2フリーツアー EVレンタカーを利用
JTB九州(福岡市)は、EV利用の「屋久島CO2フリーツアー」(2泊3日)を実施している。9月30日出発分まで。
鹿児島本港と、屋久島の宮之浦港または安房港を結ぶ高速船の往復に、宿泊、EVレンタカー、仙人村での箸作り体験などが組み込まれている。移動に利用する船が排出する二酸化炭素(CO2)量と、同量のCO2削減活動に資金を出して相殺する「カーボンオフセット」の費用も含まれる。
ツアーは、2人から受け付け。1人当たり2万9500円(4人1室の場合)―。オプションで白谷雲水峡のトレッキング(6000円)などもある。同社=099(226)2345。

