2007年12月14日更新
リューゲン島ビンツの浜辺。手前が「シュトラントコルプ」(浜辺のかご)
ビンツのホテル街を走る観光バス
潮の香りがしない海だった。ドイツ北部のリゾート地・リューゲン島で、地元の人に「試してごらん」と言われて指先をなめるとしょっぱくないのだ。日本では体感することができない不思議な海。それが島を囲むバルト海だった。
スイス、チェコ、オランダなど9カ国と国境を接するドイツ。唯一、海に面する北部にある小都市シュトラールズントとリューゲン島とは、長さ2.5キロの陸橋で結ばれている。
一帯は、外洋の北海につながる海峡が狭く、入江は「海の塩分が雨や川の水で薄められているんだ」と島で観光会社を経営するクラウス・ボーイさん(58)。
島は旧東ドイツ時代からあこがれの高級保養地。地中海をほうふつさせる白亜のホテルや流行の「スパホテル」が軒を連ねる。浜辺には日よけ、風よけのビーチボックスが行儀よく並ぶ。ドイツ語で「シュトラントコルプ」(浜辺のかご)はここから西欧に広がったという。
今年6月にドイツで開かれたハイリゲンダム・サミット。主要国首脳用にビッグボックスが用意され、安倍晋三首相も一緒に記念撮影に納まったが、今や「首相時代の思い出の一枚」に終わっている。
実質的なバカンスがない日本人に比べ、ドイツでは年六週間前後のバカンス(ドイツ語はウアラウプ)を堪能する。ドイツ観光局河村由紀さん(35)に「青い海で『ウアラウプ』を楽しみませんか。ドイツビールは最高よ」と誘われて、2つ返事で成田からルフトハンザ機に飛び乗った。
「ところで、リューゲン島ってどこ?」。記者の質問に河村さんは「私も初めて。でも、島の自然と近くの国立公園を馬車でのんびり散策できるなんてわくわくするでしょう」と遠足前の園児のように目を輝かせる。ドイツ留学の経験もある彼女が島の知識が私と同レベルとは思えないが、日本のガイドブックにはほとんど登場しない謎めいた島。「ぜひ、九州のみなさんに一帯を紹介して」
河村さんの言葉に従い、島を中心に3回にわたって案内する。
(編集委員・山本賢二)

