2011年06月20日更新


途中駅で、列車はホームを大きく越え踏切をふさいで停車。それでもこれが日常なのか、乗客は何事もなく降りていったた

終点、アランヤプラテート駅に到着。列車は折り返しバンコクへ戻る

始発のバンコク・ファランポーン駅。6番線より出発

車内販売の弁当。飲み物や果物、野菜などなど、さまざまな品物が売られている

鉄道警察による身元チェック。車内の雰囲気が一瞬、変わった
東南アジアの中でタイは最も鉄道網が発達した国である。とはいえ車両は古いし多少の遅れは当たり前。だけど、大都会バンコクの喧噪(けんそう)を離れガタゴトと揺れに身を任せるのも気持ちいい。そんなアジア風情いっぱいのタイ国鉄東線に乗った。
午前5時58分。始発なのに3分遅れでバンコク・ファランポーン駅をたった。向かうはカンボジア国境の街・アランヤプラテート。距離254キロ、所要6時間。全車3等自由席。運賃は48バーツ(約130円)だ。
下町の家々の軒をかすめるように進む。朝餉(あさげ)の煙が立ち、もう商いを始めた屋台で活気づく。働くのは女性たち。男たちはタバコをふかしているか、腹をポリポリかいているか。駅のホームはコイン式の洗濯機が置いてあったりして、住民の生活の一部になっている。
スワンナプーム国際空港に近づく辺りから高層ビルが少なくなる。複線になり、踏切もなくなってスピードが上がる。見はるかす広がる緑豊かな田畑。終点までトンネルは一つもなく、大地の広さもまた実感できる。
車内に物売りのおばさんがやってきた。目玉焼きとソーセージ数切れが付いた焼き飯を25バーツ(約70円)で購入。飲み物(冷たいビールも。しかも瓶!)や果物、野菜、さらには仏像のお守りや宝くじまで、いろんな物売りさんたちで賑(にぎ)やかだ。
地方都市を抜け、東へ東へ。田畑は次第に雑草に、そして雑木林へと変わる。クーラーはなく窓が全開のため、舞う赤土で目を開けていられない。
到着1時間ほど前、通路に突然、鉄道警察隊が現れた。腰には威圧的な短銃。始発からずーっとしゃべり続けのおばちゃんの口が閉まり、かばんを探って身分証明のカードを取り出す。つかの間の緊張感。私も記者証を手に備えたが、さすがに怪しいカンボジア人には見えなかったようでチラとも見なかった。
午前11時55分、定刻20分遅れで終点に到着した。カンボジア国境までは車で10分ほど。短時間、国境を越えるもよし、国境検問所横の巨大市場でバンコクよりうんと安いという雑貨を買い込むもよし。バンコクへのお戻りは午後1時55分発の折り返し列車で。

