2010年03月02日更新
凍てつく夜空にLEDで鮮やかに浮かび上がる氷のオブジェ

ロシアの軍用教会として1907年に建てられた聖ソフィア教会

ロシア風建築と石畳が続く歩行者天国「中央大街」のライトアップ
「まつげも凍る極寒の地」。1月の平均気温が氷点下20度の中国黒竜江省の省都、ハルビン。1985年に始まった冬の観光イベント「氷祭り」は、毎年にぎわいを増し、昨年は国内外から約55万人が訪れたそうだ。九州人にはつらい寒さだが、いっそ、まつげを凍らせてみるか。いざ「氷の世界」へ、北京から夜行列車に飛び乗った。
ハルビンの氷祭りの魅力は何といっても、夜。主会場の「氷雪大世界」や、太陽島公園、市内各所に氷彫や雪像が並び、夜はカラフルな発光ダイオード(LED)や蛍光灯でライトアップされ、幻想的な世界を堪能できるからだ。
この日の天気予報は、最低気温が氷点下28度。最高気温も氷点下17度。昼でも顔がピリピリする。早速、市内の雑貨店で厚手の手袋と綿入りブーツを調達。スキー用の靴下と、ももひきを履き、下着に張る使い捨てカイロは、両足と腹、腰に。顔にはマスク。外気にさらすのは目の回りだけ、という防寒対策で、「氷雪大世界」へ向かった。
約50万平方メートルの会場に入ると、そのスケールの大きさに、思わず見とれた。北京の故宮に始まり、日本の城の天守閣やエジプトのスフィンクス…。今年のテーマ「世界文明の歩み」を楽しめる氷のオブジェがLEDで漆黒の空に浮かび上がり、荘厳な雰囲気さえ漂わせている。
大きいものは高さ50メートルはあるだろうか。氷はすべて市内を流れる松花河から切り出し、12月から約2千人が15日かけて44のオブジェを造った。100メートルはある氷の滑り台では、子どもたちが勢いよく滑り落ちていった。
でも、やっぱり寒い。ポケットから温度計を取り出すと、一気に30度以上、下がり氷点下24度を指した。デジタルカメラの電池切れとレンズ部分の氷結を防ぐため、カイロでカメラを温めながら写真を撮るが、手袋を外すとすぐ手がかじかむ。会場はスケート場と同じでツルツルだ。オブジェに見とれ、何度も転んだ。
ハルビンは、18世紀後半から帝政ロシアの影響を強く受けつつ発展した。このため、街の中心部は100年前のゴシック調の重厚な建物が並ぶ。まつげも鼻水も凍ることはなかったが、ロシア料理と110年の歴史がある「ハルビンビール」を味わい、首都・北京の喧騒(けんそう)をしばし忘れた。
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●ちょっと より道=歴史語る731部隊陳列館
ハルビン郊外にある侵華日軍731細菌部隊罪証陳列館
森村誠一の「悪魔の飽食」で注目を集めた旧日本軍の「731部隊」。ハルビン駅から路線バスで約1時間で行ける「侵華日軍731細菌部隊罪証陳列館」は、731部隊が使用した建物を保存・改修し、当時の様子を中国側の視点で静かに語り継いでいる。
展示品は、731部隊が細菌戦に向けて実施したとされる人体実験用の道具や資料が中心。死体を処理する様子も人形で再現し、世界遺産登録を目指している。入場無料で有料の日本語通訳が常駐。月曜休館。

