2003年11月05日更新
久住連山のふもと、常時100種類の花が咲き競う「くじゅう花公園」(写真は10月撮影)
うろこ雲が広がる秋晴れの空が、心なしか少し低く感じられた。標高約八百メートル。久住高原は阿蘇くじゅう国立公園のほぼ中央に位置する。北を仰げば久住連山、南に阿蘇五岳が悠然と横たわり、東の祖母、傾へと尾根筋が続く。人家もまばらな草原が幾重にも重なりながら、空の青と溶け合っている。
「うちの売りは何といってもこのロケーション。最高の借景です」
高原の北寄りにある「くじゅう花公園」。後藤敏弘・企画広報課長(32)が園内を案内しながら言う。春はチューリップ、夏はラベンダー、秋はコスモス、霜の降り始める十一月は金魚草。三―十一月の開園中、常時百種の花が咲きそろう二十万平方メートルの花畑のすぐ奥に、久住連山が巨大な背景画のように鎮座していた。
観光施設をいくつか回る。イギリス原産のガンジー牛を飼育する「ガンジーファーム」でソフトクリームの濃厚な味に舌鼓を打つとき、「久住高原地ビール村」でほろ酔いのとき、いつも視界は三百六十度の大パノラマだ。
「数年前まで『くじゅう』といえば、やまなみハイウェイの開通で開発が進んだ久住連山の北斜面の九重(ここのえ)。南の久住はひなびたものだった」。一九九六年に破たん寸前だったリゾートホテル「レゾネイトクラブくじゅう」社長に就任した原田和信さん(52)は振り返る。
山男の原田さんは、社長就任前の福岡勤務時代、年に十回は久住連山に登山するほど久住の風景にほれこんでいたという。就任後、ホテルよりも「久住高原」そのものを世に広めようと決意。花公園やガンジーファームなどとともに福岡都市圏で一大宣伝を行った。
いま、久住高原を訪れる観光客は年間二百万人。旅行雑誌の九州・山口の人気観光地調査でも軒並み順位を上げている。原田さんのホテルも一昨年、五十室以下のリゾートホテルとしては年商日本一となった。
原田さんは言う。「みなさん、都市生活のストレスをここでいやして帰っていく。それだけの力が久住の風景にはある。私自身がそうでしたから」
(江藤俊哉)

久住高原へは大分自動車道九重インターから四季彩ロード、やまなみハイウェイ経由で約50分。湯布院インターからなら同ハイウェイ経由で約60分。JR豊肥線豊後竹田駅から路線バスで久住町中心部まで約40分。同町商工観光課=0974(76)1117。