2009年10月01日更新
キリシタン洞窟の入り口にあるキリスト像と十字架

冷水教会の中は優しい色であふれていた
瀬渡し船で行く。島と島を結ぶ大橋をくぐって。左右には浦が広がり、緑がかかった青色が美しい。長崎県新上五島町。中通島や若松島など7つの有人島と60の無人島からなり、人口の4分の1の約6千人がカトリック信徒だ。29の教会が点在する同町。船でしか行けない「祈りの場」があると聞き、船に乗り込んだ。
若松島の港から約10分。リアス式の海岸が続く島南の岬を回り込むと、がけの上に十字架とキリスト像が現れた。奥行き50メートル、幅5メートルのT字形の「キリシタン洞(どう)窟(くつ)」入り口だという。ごつごつした岩の上に乗り、足を滑らせないように慎重に岩場を進む。キリスト像に降り注ぐ陽光が神秘的だ。
この洞窟は、禁教令が解かれる前の明治初期、キリシタンが迫害を逃れて隠れ住んだといわれる。朝食を作るために起こした火の煙が漁船に見つかり、捕まって弾圧を受けたという。1967年、洞窟の入り口に信徒などがキリスト像を立てて以来、毎年11月にはミサが営まれ、祈りの場となっている。
洞窟の中はひんやりしている。壁には何か掛かっていたのだろうか、模様のようなものが残っている。外から入るわずかな光を頼りに奥へ奥へ。岩の形はまばらで、慎重に進まなければけがをしそうだ。とても住めるような場所ではない。「こんな所へ逃げこまないといけなかったのか…」。当時の弾圧の激しさと、信仰の深さがうかがえた。
車に乗って島内の教会も巡った。対岸から水面に映る姿が美しい中ノ浦教会(若松地区)を訪れた。中の壁には、町花であるツバキの花の装飾が並ぶ。ツバキの花弁は5枚だが、装飾は十字架をモチーフに4枚に。深紅の花の色は、血液を象徴し、殉教者に例えられているのだとか。
冷水教会(上五島地区)では、祈りを終えた島民たちに出会った。夕焼け雲を背に、教会から道路に続く階段を楽しそうに下りてくる子どもたち。話は夕食の話題で持ち切りだ。人のいなくなった教会の扉を開ける。いくつものアーチを使って作られた教会内に差し込む夕日が、ステンドグラスを通して優しい色を醸し出していた。
(報道センター・久知邦)
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●ちょっと より道=五島初の芋焼酎

緑一色の道を車で進み、有川地区に入ると酒蔵が現れた。五島列島初の焼酎蔵元「五島灘酒造」(田本喜美代社長)。「しょうちゅう乙類製造免許」の要件緩和に伴い、2008年から焼酎造りを開始。でんぷん質の多い新上五島町産のサツマイモにこだわった芋焼酎「五島灘」が自慢だ。
「ロックかストレートがおすすめ」と聞き、五島灘をストレートで頂く。ほんのり甘くて、飲みやすい。本場の鹿児島で焼酎造りを長年手がけてきた杜氏(とうじ)を呼び、島生まれ島育ちの焼酎造りに励んでいる。「五島灘は年々進化しますよ」と田本社長。
1本720ミリリットルで1490円。地方発送も可。五島灘酒造=0959(42)0002。

