2002年12月25日更新
六観音御池のほとりにあるスギの大木に耳を押し当ててみた
「心のきれいな人には、幹の中を流れるかすかな水の音が聞こえるよ」。案内者の声に促され、巨大なスギの幹に耳を押しあててみた。宮崎県えびの市、標高千二百メートルに位置するえびの高原。六観音御池のほとりにそびえる樹齢約四百五十年の古木が漂わせる存在感に圧倒される。同市観光協会の招きで、霧島火山群が生み出した壮大な自然を探索する旅を楽しんだ。
協会のお勧めは「えびの高原荘」を発着点に、火山火口が湖になった不動池、六観音御池、白紫池を約一時間半で巡る五キロの散策コース。体力には自信のある私。「えびの高原は自分の庭」と話す同協会の尾前健太郎さん(60)に案内され、さっそうと歩き出した。
ミズナラ、マツなどの木々に囲まれた山道をしばらく進むと視界が開け、不動池が現れる。木々を映し出すコバルトブルーの水面が美しい。さらに歩けば六観音御池。こんもりとした林に囲まれた静かな池だ。遠くに韓国岳(一、七〇〇メートル)が見える。
そして最後に白紫池。昔は冬場に子どもたちがスケートを楽しんでいたというが、最近は真冬でもほとんど凍らないという。「温暖化の影響ですよ」と尾前さん。静まり返った湖面の眺めは、自然環境を壊していく私たち人間に、無言で何かを伝えようとしているみたいに感じられた。
坂道はなお続く。尾前さんの歩調に負けまいと意地になって歩く私を、「若い人は元気だねえ」と尾前さんが冷やかす。ガクガクとひざが笑い出したころ、高原荘にたどり着いた。
冬のえびの高原では幻想的な樹氷が見られるほか、高原荘の野外スケートリンクで体を動かし、疲れた体をほぐす温泉もある。そして、食の楽しみは珍しい「チョウザメ会席」。宮崎県水産試験場小林分場が養殖しているチョウザメを、刺し身やてんぷらで味わう。あっさりした食感は、その意外性と相まって妙味を体験させてくれた。
(四十物恵妙)

えびの高原へは、宮崎自動車道小林インターから約40分。えびの高原荘の「チョウザメ会席」は事前予約が必要で1人3600円。問い合わせは同高原荘=0984(33)0161、えびの市観光協会=0984(35)1111。