2003年02月05日更新
松浜軒に展示されているひな人形
熊本県の県南地域はいま、「ひなまつり」がにぎやかだ。新旧のひな人形が存分に鑑賞でき、春風が香る。人形見物だけでなく、料理に舌鼓を打ち、温泉にもつかれると聞いて、桃の節句とは縁のない男ながら、JR肥薩線沿線へと飛び出した。
八代市の中心部にあるお茶屋「松井文庫(松浜軒)」。展示場には肥後細川藩の家老だった松井家が保存してきたひな人形が並ぶ。約二百七十年前の江戸中期制作の享保びな、約百七十年前の天保びななどが目を引く。その顔には現代びなにはないりりしさが漂う。
「多くの方が表情が険しいといわれる。戦国時代に近いせいでしょうか」と、同文庫の榎田栄事務長(68)。家具などの精巧なミニチュア約五十種も同時に公開中だ。
近くの本町商店街の百四十四店舗は、八日から三月九日まで、それぞれの店内にひな人形を飾る。同商店街では初の試み。八代市立博物館でも十八日から松井文庫所蔵の婚礼衣装や道具を特別展示する。
同博物館の山崎摂・学芸員(34)は「松浜軒の人形と合わせて観賞すれば、武家時代の女性の文化が丸ごと理解できるはず」と来館を呼びかける。
一方、人吉球磨地域でも既にひなまつりが開幕している。人吉市の人吉クラフトパークや相良村柳瀬の専徳寺などで、ひな人形を陳列。専徳寺では住職が四十年間に集めた千二百体の人形が五年前から公開されており、見物客は年々増え続けている。
両地域の中間地にある日奈久温泉。「美人湯」の異名をもつ湯は心まで癒やしてくれそうなやさしさだ。八日からは季節限定料理の「おひなご膳(ぜん)」のサービスも始まる。
三月末までのシーズン、女性同士でいにしえの女性文化に触れるもよし、夫婦やカップルでひなづくしの旅情にひたるのもまた一興かもしれない。
(村田勝重)

日奈久温泉旅館組合は3月まで晩白柚風呂や竹細工体験(土日のみ)などを企画。特産の晩白柚樹木のオーナー(1本価格は15000円と20000円)も募集中。問い合わせは不知火ホテル=0965(38)0414。松井文庫=0965(32)8805。人吉市観光案内所=0966(22)2411。