2004年06月02日更新
高瀬裏川は紫や白のハナショウブ66000本が咲く
初夏を彩るハナショウブ。その白、紫、桃色の花をめでてみたいと、福岡から特急で一時間、熊本県玉名市を訪ねた。
向かったのはハナショウブの名所、高瀬裏川。商人のまち・高瀬の裏を静かに流れる細い川だ。その中流約八百メートルに、一万三千株、六万六千本のハナショウブが咲き誇るという。市民ボランティア「旅先案内人」の一人、平塚文子さん(56)と一緒に、見ごろよりも一足早く川辺を歩いた。
川岸は昔からの石垣。川には散策デッキが渡り、花を間近に見られる。高瀬裏川のハナショウブは、触ると破れてしまいそうなほど柔らかく、かれんな花びらを開かせていた。六月上旬の見ごろには、色とりどりの花が川面に映えるそうだ。
「高瀬裏川筋を愛する会」の猿渡洋悟会長は「全国にショウブ園は数多くありましょうが、住民と行政が力を結集させたこの景観は、どこにも負けん」と自信たっぷりに話す。高瀬の町おこしのため、十年前に始めたのがハナショウブの植裁だった。住民と自治体が共同して川の景観整備に取り組んでいる。
高瀬は、水運の拠点として、江戸時代には大坂の堂島に運ぶ米の一大集積地として繁栄した。「東の加賀米」に対し、「西の肥後米」と呼ばれた米の積み出しのために造られた運河が高瀬裏川だ。ここから運ぶ米の量が、大坂の台所事情を左右したという。
今でも高瀬は商家が立ち並ぶ。当時の蔵や神社、史跡が残る古い街並みは風情たっぷりだ。
アサリや、シャク(シャコ)など地元有明海で採れる海の幸を夕食にいただいた後は、湯めぐりに繰り出した。
玉名の湯は無色無臭で、すべりがいい。湯上がりはさっぱり、つるつる。肌に磨きがかかったと満足した。
再び高瀬裏川に足を運ぶと、川はライトアップされていた。光に照らされたハナショウブは、幻想的な雰囲気を漂わせる。いつまでも見とれていたい美しさだった。
(社会部・鶴加寿子)

高瀬裏川は、6月12日まで、日没から午後10時までライトアップされる。「第14回高瀬裏川花しょうぶまつり」は、6月5日に開催(雨天時は6日に順延)。川辺でコンサートも開かれる。玉名市商工観光課=0968(73)2222。