2010年10月31日更新
伊勢エビの刺し身は、プリプリの食感に甘みがあって最高だ熊本県天草市天草町

アワビの姿焼きをつくる旅館関係者。火にかけると、大きな身から潮の香りが漂う熊本県天草市五和町
「天草は旅人を詩人にするらしい-」。かつて作家の司馬遼太郎は著書で熊本県天草地域をこう評した。キリシタン文化が色濃く残る祈りの島。イルカウオッチングに代表されるマリンレジャーの島。天草陶石を産出する陶磁器の島。いくつもの顔を持つ天草で、旅人を魅了してやまないのが「食」だ。秋が深まり、うま味を増す天草の魚介類を食べ歩いた。
プリプリの食感に程よい甘み。天草市天草町の下田温泉街の名物となった宿泊プラン「伊勢エビグルメプラン」。旅館などが伊勢エビの刺し身やボイル、みそ汁、地魚の刺し身など12品以上を振る舞う。天草西海岸と同市牛深町沖の天草灘は潮の流れが速く、身の締まった伊勢エビが捕れる。「海に沈む夕日を眺めながら食べる伊勢エビは抜群です」とホテル「ジャルディンマール望洋閣」の藤本貴士専務(36)。
天草の食を語る上で、忘れてならないのがアワビとウニ。野生イルカの見物が楽しめる同市五和町では地元の旅館がアワビの刺し身と姿焼き、ウニなどを振る舞う宿泊プランを企画している。同町では約30の養殖業者が約100グラムに育ったアワビを全国に出荷。素潜り漁で捕るウニも絶品だ。
姿焼きの調理を見せてもらった。網に乗せて火にかけると、アワビが身をくねらせる。潮の香りたっぷりの身は軟らかく甘みもある。ウニには濃厚な甘みがある。
隣の上天草市では旅館などが宿泊プラン「とらふぐフェア」を開催中。熊本県はフグ類の養殖が盛んで、生産量は全国2位の約600トン(2007年)。養殖業者の大半が天草にいて、フグの本場・山口県下関市にも出荷しているという。
刺し身や空揚げ、鍋などの定番メニューはもちろん、トラフグのだしが染み込んだ雑炊もうまい。地元の「あまくさ四郎観光協会」の松田裕子さん(26)は「トラフグはコラーゲンが豊富。お肌が気になる女性にお薦めです」とPRする。
伊勢エビにアワビ、トラフグ-。高級食材に限らず、天草は低価格の地魚もうまい。旅の最高の楽しみは、まさに食にあり。そう実感した。
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●ちょっと より道=「食」の模型……人気

「食」の模型……人気
春のマダイ、夏のハモにタコ、冬のクルマエビ-。四季を通じて旬の魚介類を味わえる天草には、島のあちこちに本物そっくりの模型がある。
熊本県天草市御所浦町の造船会社「アクアマリンまつなが」の松永英也さん(35)が自治体や企業の注文に応じ、船に使われる繊維強化プラスチック(FRP)で造った。地鶏「天草大王」などを含めた「食」の模型は天草地域に計12体ある。
中でも、天草市有明町の海岸線にあるタコ(全長約4・5メートル)、同市瀬戸町のJA直売所前のデコポン、上天草市大矢野町の農産物直売所前にあるハモの模型は、観光客が記念撮影する人気のスポットになっている。

