2010年02月23日更新
ふぐ料理を味わう観光客。旬の味に自然と顔がほころぶ

島では気軽に化石採集を体験できる
コリコリ。何かが違う。白く透き通った刺し身が次々と、のどを通り過ぎていく。「ほんのりとした甘みとこの食感がたまらない」。冬が旬のトラフグ。そのフグのうま味を生かした空揚げや地場の野菜を加えた鍋など、どれも夢心地のおいしさだ。
熊本県天草市本渡港から船に揺られ40分。青く澄んだ八代海にぽっかりと浮かぶ離島の町、御所浦町が見えてくる。トラフグの養殖では県内の拠点の一つで、熊本県は全国トップクラスの水揚げ量を誇る。釣り上げるとフグのおなかがブクブクと膨れる様から、地元では「ぶっきん」という愛称で呼ばれ親しまれている。
「その日の朝に水揚げされたフグを料理できるのは、かなり珍しいことです。鮮度も違います」と誇らしげな地元の旅館、碧(へき)水館(すいかん)の女将(おかみ)・森悠子さん(64)。また生産地ならではのお手ごろな価格も魅力だ。
トラフグの養殖は難しいといわれる。タイなどの養殖魚に比べ生存率が低い。トラフグの産卵地として知られていたこの地域では、30年ほど前から養殖が始まった。干満の差が大きく栄養分の豊かな八代海だったが、他の養殖地に比べて水温が低いため、フグのえさ食いが下がった。
その結果、この土地独自のフグが育った。「成長が遅くなった分、冷たい水にさらされ、身の引き締まったトラフグができあがった」と天草市水産研究センターの岩崎政彦さん(41)は説明した。
この町にはもう一つ“ウリ”がある。「白亜紀の島」だ。過去には、日本最大級の肉食恐竜の歯の化石などが出土している。そこで、化石採集を体験できる「『トリゴニア岩石』化石採集場」を訪れてみた。
昨年10月、学術的に貴重な地層など大地の遺産を教育や観光に生かす自然公園として「日本ジオパーク」に認定された。これまでの地層見学や化石採集などの取り組みが評価されたという。さらに地質版世界遺産といわれる「世界ジオパーク」への加盟に向けて活動を続けている。
小型ハンマーを持ち、いざ挑戦。「何が出るかな…」。心を躍らせつつ石にハンマーを打ちつけ砕いて割ると、断面からは貝殻のようなものが…。「化石ですよ」とアイランドツーリズム推進協議会の三宅啓雅さん(56)。宝探しのようで癖になりそうだった。
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●ちょっと より道=「がねあげ」作り体験
がねあげを揚げる野中さん。出来立てはホクホクしておいしい。
「がねあげ」とは天草地方の郷土料理。拍子木切りしたイモにショウガ、砂糖、塩で味付けをし、衣を付けて揚げたシンプルな一品だ。イモの甘みとショウガの風味がマッチ。子供にはお菓子として、大人にはお酒のおつまみとして楽しめる。熊本県天草市本渡町本渡の「味柑ちゃんグループ」で天草の歴史や文化などを聞きながら、がねあげ作りを体験できる。話に聞き入って5分もしないうちに「黄金色に揚がったらもうできあがりですよ」と野中千恵子代表(64)。口の中に入れると懐かしい味がした。

