2011年05月30日更新
東日本大震災の被災地支援のため、募金を呼び掛ける芸人たち
なんばグランド花月の舞台で漫才を披露するベテランの「オール阪神・巨人」
お笑いコンビ「藤崎マーケット」も登場
客席に通じる扉を開けると、満席の会場から大きな笑い声と拍手が飛び込む。舞台に立つ芸人たちがスポットライトを浴び、生き生きとネタを繰り広げていた。
3月12日に九州新幹線鹿児島ルートが全線開通し、鹿児島中央-新大阪間は最短3時間45分で結ばれた。九州からより近くなった「笑いの殿堂」を訪れた。
大阪市中央区にある「なんばグランド花月」(NGK)は、吉本興業のグループ会社「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」が運営するお笑い専門の劇場だ。1987年、老朽化した「なんば花月」に代わる劇場として生まれた。
毎日、ステージがあり、年間約80万人が笑いを求めて来場する。1回の公演は約2時間半。平日は2回、土、日曜は3―4回の公演があり、数組の漫才師や落語家、コメディアンらが舞台に上がるほか、吉本新喜劇も楽しめる。
訪れた日は、6組の漫才コンビなどが登場した。「なんでやねん」、「もうええわ」。テンポの良いボケやツッコミに、ぐいぐいと引き込まれていく。大阪と言えば、たこ焼きの本場。飲食自由とあって、客席にソースの香りが漂う。ベテラン漫才師のオール阪神・巨人の2人が、たこ焼きをほおばる客に舞台から声を掛けた。「最前列の兄ちゃん、あんたよう食べまんなあ。ネタ忘れてもうたわ」。臨機応変な客席との掛け合いも「生舞台」の魅力だ。
東日本大震災の被災者支援につなげようと、出演者たちは約1カ月にわたって、舞台の合間に劇場前の街頭で募金を呼び掛けた。この日も、若手からベテランに至る芸人たちが、大きな声で協力を求めていた。
その1人、人気落語家の桂三枝さんは「今、私たちにできるのはこういうことぐらい。阪神大震災のときは、日本中から支援をいただいた。東日本の人たちに余裕ができたら、落語をして回りたい」。軽妙に笑いを誘う舞台の顔と打って変わり、社会貢献の大切さをまじめに、熱く語る表情が印象的だった。
× ×
●ちょっと より道=鶴橋の焼き肉店街
NGKの最寄り駅・なんば駅から大阪市営地下鉄で約10分の鶴橋駅(JR大阪環状線、近鉄大阪線も乗り入れ)で降り、地上に出ると肉の焼ける香ばしいにおいが食欲を刺激する。
駅周辺には朝鮮半島出身者が多く住み、戦後は焼き肉店が軒を連ねた。今でも数十軒がひしめき合うように営業する。
「空」という店を選び、入ってみた。「ロース」「タン」「カルビ」と、おなじみのメニューをはじめ、「ハギシ(あご肉)」「うちわ(のどぼとけ)」など耳慣れない部位の名も並ぶ。「九州のホルモンもおいしいかもしれんけど、大阪も負けてへんで」と女性従業員。関西の焼き肉文化をかみしめた。

