西日本新聞

とっておきの旅 (旅・観光)

達人たちがとっておきの旅を紹介します。国内も海外もリゾートも辺境も、一味違った旅がここにあります。

中国・四国 / 文化にふれる旧海軍兵学校(広島県江田島市) 今も現役の「将校養成校」

2007年02月02日更新

東京駅と並び、日本を代表するレンガ造り建物の旧「東生徒館」。現在は海自の幹部候補生学校として活用されている

壇上中央に天皇が座った玉座がある「大講堂」。終戦後は、進駐軍によって教会として使われ、現在は入校式、卒業式などに使用されている

 「原爆ドームだけじゃのうて、江田島(えたじま)にも行ってみんさい」。平和都市ヒロシマの沖に浮かぶ島に、かつて世界三大兵学校に数えられた旧海軍兵学校跡があると聞いた。広島港から江田島(広島県江田島市)行きの船に乗った。

 「海上自衛隊 幹部候補生学校 第一術科学校」。入り口に重々しい文字が並んでいた。かつての兵学校は、幹部自衛官を養成する現役の施設だった。

 「それでは、ヒトフタマルマル(1200)、正午ごろまでご案内します」。海自OBの男性ガイドの引率で、構内を見学した。

 兵学校は1888(明治21)年、将校養成校として東京から移転した。広島は終戦まで国内有数の軍都だったのだ。

 天皇の玉座が残る御影石造りの大講堂、英国人が設計した赤レンガ造りの東生徒館など、明治・大正期の洋風建築は今も活用され、戦艦「陸奥」の主砲塔や戦艦「大和」の砲弾、真珠湾攻撃に使われた特殊潜航艇を教材用に展示する。

 「米英両国の兵学校とともに世界に名をはせました。今も、ここを出ないと士官にはなれません」と誇らしげに語るガイド。制服姿の教官や学生が、すれ違いざまに敬礼をする。観光施設にはない緊張感。「海軍の伝統と精神を受け継ぐ聖地」なのだという。旧海軍と“軍隊ではない”自衛隊のつながりの強さを見た。

 ギリシャ神殿風の建物が見えてきた。「一番の目玉の教育参考館です」。英国海軍提督ネルソンや東郷平八郎の遺髪など旧海軍史料約1万6千点を収蔵するが、来夏までは改修のため閉館中。特攻隊員の遺書や遺影など約300点だけを仮展示室で公開していた。

 勇ましい言葉だけでなく家族を気遣う文面も目立つ遺書。ガラスケースの中からまなざしを投げかける隊員たち。ガラスに反射して映る、彼らと同年配の私の顔。あの時代に生まれていたら…。

 彼らの犠牲の上に今の平和がある。戦争ほど悲惨で残酷なものはない。だからこそ二度と戦争をしてはいけない。そう胸に刻んだ。現代の“兵学校生”たちはどう考えているだろうか。

 (社会部・坂本信博)


メモ

 広島(宇品)港から江田島・小用港までは高速船で約20分。港から旧海軍兵学校(現海上自衛隊幹部候補生学校、第一術科学校)までバスで約5分。見学(案内付き)は所要時間約1時間半。無料。1日3─4回行っており、事前に問い合わせを。第一術科学校総務課=0823(42)1211。


「旅・観光」のトップページへ >>
おすすめ情報【PR】
おすすめ情報【PR】
東日本大震災特設ページ
西日本新聞公式アプリ
天気・交通情報
  • 2月 2012年
  • 9
  • 木曜日
  • 道路交通情報
  • 九州のりものinfo.com
福岡 6℃
/
長崎 6℃
/
佐賀 6℃
/
宮崎 9℃
/
大分 7℃
/
鹿児島 8℃
/
熊本 7℃
/
山口 5℃
/
記事写真ご利用はこちら
アクセスランキング
  1. 氷点下の朝再び、9日朝にかけ大雪も
  2. 県職員360人削減へ 行革大綱素案を公表
  3. 札幌雪まつり、雪像崩れ女性けが 6...写真付記事
  4. 福岡市役所・1階ロビーを情報発信拠...写真付記事
  5. トンネル事故、直前にトラブルか 岡...写真付記事
注目コンテンツ
47CLUB探検隊

「もつ鍋万十屋」さんに行ってきました!

年末に差し掛かりコートが手放せなくなってきましたが皆さまはお元気ですか? これから一段と冷え込むこの季節、特に恋しくなっ...

>> 記事を読む

>> 47CLUB探検隊へ