湯之元温泉
鹿児島県日置市
路地が入り組む街は… 44ヵ所もある泉源が自慢の種 「日本朝風呂党」の立党も
鹿児島市の西隣にある鹿児島県日置市。ここの温泉は鹿児島市内からのアクセスが良く、人気が高い。湯之元温泉もその1つ。国道3号をはさんで温泉宿が立ち並び、JR鹿児島線湯之元駅からも徒歩で訪れることができる。温泉街に足を踏み入れると、古くからの温泉施設と、それを愛好し、誇る人々の笑顔があった。 (経済部・坂本公司)

[写真説明]「田之湯温泉」の男湯の脱衣場に掲げられた「日本朝風呂党立党宣言」
湯之元駅で降りると、素朴な雰囲気の街並みに引かれた。新しい建物が少なく、年季が入ったように見える建物ばかり。街を横切る大里川の橋を渡ると、間もなく国道3号に出合うが、それから南に入った温泉街の通りは道幅が狭い。
国道3号から外れるほど、路地はさらに細く、入り組んでくる。江戸時代、参勤交代の島津藩の武士が体を休めた由緒ある温泉街らしく、自然発生的にできた宿が並んでいる。
「泉源の多さが何よりも自慢」と、地元の夏祭りなどを主催する地域振興組織「がんばろう湯之元会」会長の比良覚さん(62)が胸を張る。泉源は44カ所あり、最初は自噴していたものが大半という。泉源の数に比例し、湯量も豊富。夏祭りなどでは観光客向けに臨時の足湯が設けられる。
泉源の多くが無色透明で硫黄のにおいがする単純硫黄泉だが、それぞれ、お湯の温度や泉質が違う。1施設で複数の泉源を所有している場合も珍しくない。
現在、湯之元温泉地区では、入り組んだ路地を解消する区画整理が行われているが、泉源には手を付けない方針だ。移設工事中の旅館「錦龍館」も、泉源の変更は考えていないという。
日帰り温泉の「田之湯温泉」は2つの泉源を持ち、両方のお湯をブレンドして湯船に入れている。熱めで肌がつるつるになると評判だ。このお湯にほれ込み、朝風呂に来ていた人々が1978年、「日本朝風呂党」を立党し話題になった。
立党以来「朝風呂党」の総裁は、近くの薩摩焼の古里、美山の窯元、第14代沈寿官さん(82)。沈さんが起草した「立党宣言」は、「朝風呂こそ健康の源泉、日本躍進の活力の元なり」「アメリカ、ソ連、中国の各棟梁(とうりょう)もしかめつらをやめ、天下の名湯田之湯に入りて歌の1つも歌えば意気投合、原爆水爆まったく不用」とうたう。朝風呂の効用を世界平和にまで広げるユーモアに感嘆させられる。
党員は漁師、農家、飲食店主、会社員などさまざま。営業開始の午前6時以前から集まり、朝風呂を楽しむ。「田之湯温泉」を経営する秋嶺健さん(61)は「早朝からにぎやかですよ」と笑顔で話した。
=2009/01/16付 西日本新聞朝刊=





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