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ふるさと案内人 (旅・観光 / 西日本新聞)

西日本新聞朝刊 解説面「見直そう 九州観光 ふるさと案内人・地域を語る(木曜掲載)」より

「のら体験工房さいかい」会長 増山文明さん(51)

(長崎県西海市)

2007年04月19日掲載

田舎のよさ肌で感じて

 ▼のら体験工房さいかい 農家など約20団体で2001年9月に発足。果物狩りやカヌーなど41の体験メニューがある。民泊は1泊2食付き6300円。西海市観光協会=0959(37)4933。

 長崎市から北に延びる西彼杵半島。その最北端に位置する長崎県西海市西海町の農家が、疲れを癒やしにやってくる都会の観光客を受け入れている。ミカン狩りや魚釣り、里山歩きなどの「田舎体験」が味わえると評判だ。

 「合併前の旧西海町が進めていたグリーン・ツーリズムのまちづくりの一環で始めました。当初は私たちも『自分たちが普段やっていることで観光客が喜ぶのか』と半信半疑でしたが、今はリピーターができ、軌道に乗りだしました」

 「ミカン狩りは千円で食べ放題、お土産付きとお得。五島灘に沈むオレンジ色の夕日、満天の星空など大自然を肌で感じられます。近くのホテルと連携して行う夜のカブトムシ捕りツアーは大人気で、5年連続参加の小学生もいます。お客さんが感動するのを見て、こちらも逆に、田舎の豊かさを再発見させてもらいました」

 農作業を体験しながら作物を味わってもらうことで、将来の顧客獲得につなげることも狙いの1つ。

 「私の家はミカンとビワを作っています。例えばミカンは糖度と酸のバランスが大切なのに、市場を通すと糖度が高ければ五キロ当たり6000円、低ければ150円などと一律にランク分けされます。仕事の厳しさに収入が見合わず、離農者は増える一方。『のら体験工房』で観光客に自分の作物のおいしさをアピールし、直接注文を受けることで、そうした状況の改善につながればと考えています」

 食品衛生法や旅館業法に関する長崎県の基準が緩和され、昨年2月、県から「農家民泊」ができる団体の第一号に選ばれた。

 「五軒の農家が収穫作業のない夏場などに、自分の古い民家を開放し、観光客に農家の生活体験をしてもらうのです。昼は農作業をし、夜は大村藩時代から地元に伝わる『西海ずし』を、私の妻や孫と一緒に作ってもらったりします。私の家にも観光客が21人、学童保育の合宿で5人が泊まりました。韓国から観光視察団が訪れるなど、口コミで良い評判が広がっているようです」

 客の受け入れ準備や案内に手間暇がかかる一方、なかなか利益につながりにくい地道な取り組みだ。

 「西海市は東京などからも遠く、鉄道が通らない半島地域。観光には不利な地理環境です。今は周知期間と考えて、ほかの観光地にはない魅力づくりに徹しています。修学旅行も受け入れられるように、民泊の対象農家を増やしたい」
 (長崎総局・下崎千加)

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