西日本新聞

宮崎地区の駅弁 黒豚五健弁当(840円)

西都城駅、都城駅

ボリュームたっぷり、でもすっきり

 宮崎県都城市で生まれ育った私は、都城産の牛肉、豚肉、地鶏、茶が「日本一」だと思っている。そして駅弁といえば、小さいころから「せとやま弁当」のかしわめしが大好きだった。まだファーストフード店が(都城には)なく、外食することもまれだった時代。家事に疲れたのであろう母親が、お昼ごはんにかしわめしを買ってきたときは内心、狂喜乱舞した。あの味つけごはんのうまかったこと、うまかったこと…。茫漠とした子どもだったので他の記憶はあまり鮮明でないのだが、かしわめしの味だけは今も脳幹の奥深くに刻み込まれている。

 故郷を離れ、はや20年。帰省の折、吸い寄せられるように立ち寄った「せとやま弁当」で、新たな一品を見つけた。黒豚五健弁当だ。
包み紙には「都城産黒豚と五つの健康な黒の食材を使用」とうたわれている。黒の食材とは何か。その秘密は、豚肉を漬け込んだみそにあった。①黒こうじ仕込みのイモ焼酎②黒砂糖③黒酢④黒ゴマ―を合わせたスペシャルな自家製みそなのだ。このタレのうまみを十二分に吸い、やわらかく焼き上げられた黒豚がおいしくないはずはない。みその甘みと黒豚のコクがあいまって、もうメロメロである。

 もう1つの黒の食材はひじき。そう、ごはんがひじきご飯なのだ。その上に豚そぼろ、刻みノリ、錦糸卵、味付たまごが載っている。全体的にボリュームたっぷりなのに胃がもたれることなく、すっきりとした味わいなのは「黒の食材」のおかげだろう。本品を肴(さかな)にイモ焼酎を飲み(これがまた、よく合うのだ)、ほろ酔い気分になったところで、夕涼みに家を出る。夕日を浴びた高千穂峰が美しい。「ふるさとの山に向ひて…」 石川啄木の歌が浮かんでくる。

 ふるさとの味に向ひて言ふことなし ふるさとの駅弁はありがたきかな

 せとやま弁当=0986(22)1000

(Web企画室 生野秀樹)

=2007/09/25=

2007年10月10日更新

※ 駅弁の内容は季節によって変わることがあります。

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