新八代駅、八代駅
ご飯に載っている牛肉を注意深く見てほしい。すき焼き風にじっくり煮込んだバラ肉と、フルーツベースのたれに漬け込みスパイスをきかせて香ばしく焼いたモモ肉の2種類が渾然一体となっていることに気付くはずだ。これらが口の中で絶妙のハーモニーを奏でるのである。
阿蘇地方(熊本県)の赤牛を使用した牛丼弁当。広々とした草原で、悠々と草をはんでいる赤褐色の牛たちの姿が頭に浮かぶ。大自然の中で育った赤牛の肉はさぞやおいしかろうと思う反面、駅弁の宿命である「冷めた」牛丼が果たしてうまいのか…そんな疑念もあった。
まずモモ肉をいただく。肉厚で、しっかりとした歯ごたえ。かめばかむほど肉本来のうまみがジュワジュワッと染み出てくる。すかさずご飯をかきこむと、牛丼というよりステーキ丼といった味わいである。ただ、この丼の具がモモ肉だけだったら飽きがくるかもしれない。それを防いで余りあるのがバラ肉の存在だ。ほろほろと口の中でとけてしまう感じ。ご飯が進む。「地元・熊本の素材にこだわり、脂身の少ない、あっさりした味に仕上げました」と発売元「みなみの風」(同県八代市)の頼藤雅美さん。なるほど。冷めていて脂っこい肉は腹に重たい。あっさりした肉の方が駅弁には向いているだろう。冷めてもおいしく食べられるように、といった工夫が随所に感じられる。私の疑念は浅はかでした。
付け合わせは錦糸卵、シイタケとレンコンの煮物、菜の花の漬物など。はし休めにちょうどいい。容器が小ぶりのため、食いしん坊の私は「量が足りるかな」と思ったが、十分満足できた。
みなみの風=0965(39)5150
(メディア編集部・生野秀樹)
=2006/11/21=
2006年11月21日更新
※ 駅弁の内容は季節によって変わることがあります。