
東日本大震災の発生から数日後、被災地の仙台市に向かった。隣の山形市から乗ったバスでのことだ。
隣の席のおばさんに「総合体育館に行くには、どこで降りたらいいか」と尋ねた。すると「どうしてそこへ行くのか」と質問が返ってきた。「韓国から来た記者として、避難所を取材するためだ」と答えたら、また質問連発。「泊まる所はあるのか」「食べ物はあるのか」と。そしてかばんの中を探し、パンを取り出して渡すではないか。「仙台は食べ物が手に入りにくいから、少なくてももらっておきなさい」と言うのだ。
いろんなことを話してくれた。仙台に住んでいて、山形に食べ物を求めに行った帰りだそうだ。家族は無事だが、安否が分からない親戚がいて心配だという。
今度の地震で日本人を見直した。どうして大変な状況なのに、自分より先に相手に気配りできるのか。
おばさんだけではない。すし詰めの列車で高齢者や妊婦に席を譲る人々。コンビニのバラバラになった商品を店員と片付けた後、自分の品物を選んでレジに並ぶお客さんもいた。韓国のことわざに「豊かな倉庫から人情が生まれる」がある。「自分の都合が苦しければ、他人に気配りしにくい」という意味だが、日本では間違った言葉のようだ。
日本が早く惨事を乗り越えてほしい。乗り越えられると信じている。私が見てきた日本人なら十分可能だと思う。おばさんにも吉報が届くことを願う。
(金〓(〓は「王へん」に「宗」)烈(キムジョンヨル)・釜山日報福岡駐在)
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「ヨロガジ」とは韓国語で「いろいろ」「あれこれ」の意味