【寄稿】実力抜きんでる2人  中島 一彰

 間もなく将棋界の秋の陣が始まる。

 石橋幸緒女流王位に清水市代女流2冠=女流名人、女流王将=が挑戦する第20期女流王位戦5番勝負は6日、熱戦の火ぶたが切って落とされる。4期連続の顔合わせ、それは2人の実力が抜きんでている何よりの証左だ。さらに驚異なのは、清水の17期連続登場という大記録だ。1987年度に女流名人位を初戴冠して以来、20年以上も女流棋界の頂上に居続けている。羽生善治名人、中原誠16世名人、大山康晴15世名人に比肩する大実績と言っても過言ではないだろう。

 その清水から昨年、倉敷藤花のタイトルを奪取したのが、芳紀まさに17歳(獲得時は16歳)の里見香奈倉敷藤花。今期の防衛はもちろん大切だが、勝負の結果にとらわれることのない実力を積み重ね、さらなる大輪の花を咲かせてもらいたい。現在進行中の女流名人位戦A級リーグでも、タイトル経験者の斎田晴子女流四段、千葉涼子女流三段と並んで首位グループ。こちらも目が離せない。

 頂上の一角、矢内理絵子女王も第2期マイナビ女子オープンで産休明けの岩根忍女流二段の挑戦を退け、防衛。安定感はさすがだ。

 日本女子プロ将棋協会の運営で多忙の中井広恵女流六段。しばらくタイトル戦出場がないが、第2回女流最強戦で上田初美女流二段を下して優勝、存在感を示した。その上田は各棋戦で大活躍。この女流王位戦では挑戦者決定戦で清水に敗れたが、白組リーグで優勝。今期女流王将戦では決勝で岩根を下し、タイトル初挑戦を決めている。

 女流王位リーグの残留者は、上田、中井に、中村真梨花女流二段、早水千紗女流二段、新鋭の熊倉紫野女流初段。残念ながら今期はリーグ陥落となったが、奨励会経験者の実力派、甲斐智美女流二段、東海本部のビーナス、室田伊緒女流初段。現女流棋界はきら星のごとくである。
(なかじま・かずあき=観戦記者)