■6カ月で効果実感 個人差・高い治療費に課題
椎葉さんは年を重ねるにつれて頭髪が薄くなってきていたが、テレビ番組に出演する際も帽子をとらないキャラクターだったため、周囲に指摘されることはなかった。気にはしていたが「年を取ったから」とあきらめていたという。
発毛治療を受けることにしたのは、テレビ西日本の番組の企画がきっかけ。城西(じょうさい)クリニック福岡(福岡市・天神)で昨年8月、頭頂部を撮影してもらった画像を見てびっくりした。髪の少なさに加え広い範囲で地肌が見えている。「ここまで薄くなっていたか」。番組のリポーターとして自らモニターになることにした。
小西さわ子院長によると、椎葉さんの薄毛は、「AGA」と呼ばれる男性型脱毛症だった。AGAの元凶は、男性ホルモンの一種と酵素が混じり合って生成される「ジヒドロテストステロン(DHT)」。これが毛乳頭細胞を攻撃することで脱毛を引き起こす。額の生え際や頭頂部が、双方から薄くなる特徴があるという。長く太く成長する前に抜け落ちてしまうことから、残った髪も細く短くなっていた。
椎葉さんは1日1回、DHTの生成を抑えるプロペシアを飲み、育毛効果のある成分「ミノキシジル」を含む薬を塗った。洗髪にはクリニックで指定されたシャンプーを使った。
治療を始めてしばらくは抜け毛が多かった。小西医師に相談すると「新しい毛に生え替わっている」と説明された。2―3カ月で「若いころの髪の質に戻っている」と感じた。6カ月後。後頭部を手で触るとふさふさしている。家族や友人から「増えているよ」と言われ、その度に誇らしい気持ちになったという。
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プロペシアはDHT以外の脱毛症や女性には効果がない。しかし、頭髪の悩みで医療機関を受診する女性は増えているようだ。
小西医師によると、女性はストレスやダイエットのほか、出産後の女性ホルモンが低下した際にも薄毛の症状が起こるという。
福岡県内の介護職の女性(29)は5年前、頭頂部の脱毛に悩まされた。きっかけは、結婚を考えていた恋人との別れだった。食事がのどを通らなくなり、体重が激減。しばらくして髪が抜け始めた。「人に笑われる」。うつうつとして外出を避けるようになった。
クリニックでサプリメントを出してもらい、頭皮ケアを受けた。半年後、髪が太くなったことを実感したという。「性格が変わり、人生が開けた感じがします」と話してくれた。
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ただ、頭髪の治療には個人差があり、必ず効くとは限らない。小西医師も「発毛治療で、生えるか生えないかは試してみないと分からない」と話す。髪の本数が増えるのはまれで、髪が太く長くなることで増えたように見えるのだという。そのため、「毛根がない状態から髪を生やすことは難しい」という。
治療費も決して安くはない。頭髪治療専門の城西クリニック福岡の場合、プロペシアを処方するAGAの治療は1カ月で3万円前後。他の皮膚科や内科では同1万円ほど。保険は利かず、20―30歳代には負担が重いといえるだろう。
副作用も気になるところ。プロペシアを発売する万有製薬(東京)によると、国内臨床試験では1%前後に性欲の減退や勃起(ぼっき)不全、体の一部に発疹(はっしん)が出た人もいた。経済的な理由や副作用から服用をやめれば、改善傾向が見られていても「また薄毛が進行する可能性がある」(同社)という。
【写真説明1】椎葉ユウさん
【写真説明2】小西さわ子院長
【写真説明3】初診時の椎葉ユウさんの頭頂部
【写真説明4】治療を始めて約3カ月
【写真説明5】治療を続けて半年。頭頂部は黒い髪で覆われた
=2010/03/15付 西日本新聞朝刊=




