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喉を診て感染症診断 症例写真データを解析 北九州市の佐久間孝久医師

[キーワード]小児科

[更新日時]2009年01月12日

 北九州市戸畑区にある佐久間小児科医院の佐久間孝久院長(79)は、およそ四半世紀にわたって子どもの喉(のど)の写真を撮り続けている。地域の開業医として、風邪をひいた、おなかが痛いと親に連れられて来る子どもたちを診察する佐久間医師は、インフルエンザや胃腸炎などの感染症を診断するにあたり、何よりも喉に着目するという。 (百合直巳)

 風邪をひいたら喉が真っ赤になると思いがちだが、佐久間医師は「医者になったころから、風邪で発熱した子どもたちの喉が一様に赤くないことが気になっていました。病気によって口蓋(こうがい)扁桃(へんとう)が赤かったり、あっさりしていたり、ひどく腫れていたり、浸出物があったりと特徴があったのです」と振り返る。

 国の感染症動向調査の定点観測医療機関に同医院が指定された1981年から、原因となったウイルスの違いによる喉の腫れの状態を解析してきた。2005年には、症例写真284点を収めた医学書「小児咽頭(いんとう)所見 アトラスさくま」を出版、昨年は英訳版も出した。

 今では「喉を診ると、ウイルスの種類については、かなりの確度で診断ができるようになりました」と言う。子どもに感染症をもたらす代表的なウイルス・菌と症例を紹介してもらった。


【アデノウイルス感染症】
 気管支炎や肺炎など乳幼児の呼吸器系感染症を引き起こす主要病原ウイルスのひとつ。これによる病気は1-5歳に多く、年間を通じて発症する。4、5日続く高熱と滲出性(しんしゅつせい)咽頭炎、結膜炎が特徴で、喉はとても赤くなる。首やこめかみ付近のリンパ節が腫れる。病状によっては入院の必要がある。



【エンテロウイルス感染症】
 腸管で増殖するウイルス。夏風邪の一種で水疱(すいほう)性発疹(ほっしん)が特徴の手足口病、同じく夏風邪のひとつヘルパンギーナなどを起こす。特に一歳児に多く、38・5-40度の熱が2、3日続く。一度解熱しても2日ほど後にまた発熱することもある。




【インフルエンザウイルス】
 冬季を中心に流行する急性呼吸器感染症インフルエンザの原因となるウイルス。急な発熱が2-5日続く。関節痛や食欲不振など。喉は、それほど赤くならない。48-72時間で快方に向かうことが多い。抗インフルエンザ薬を処方する。





【溶連菌感染症】
 咽頭炎などを引き起こすこの菌は、年間を通して飛沫(ひまつ)感染によって伝染する。溶連菌咽頭炎は5-15歳に多く、喉の痛みと38-39度の熱、腹痛などを伴う。喉だけでなく、口蓋も赤くなる。ウイルス性感染症との症状の違いははっきりしているという。治療は抗生剤を処方する。





   ◇   ◇

 ウイルスの詳しい型などを特定するには血液や便などを調べる必要があるが、喉の診察で大まかな傾向が分かれば「治療方針が立てやすく、喉の様子を説明することで保護者にもよく分かっていただけるようです」と佐久間医師は話す。

 もちろん診察にあたっては、子どもの体質や家族の病気、予防接種の有無などを慎重に確認する必要がある。喉が赤い、それほど赤くないということで素人が安易に判断するのは避け、異常があれば医師を訪ねるべきだろう。


【写真説明】上から①アデノウイルス感染症②エンテロウイルス感染症③インフルエンザ④溶連菌感染症いずれも佐久間医師提供

=2009/01/12付 西日本新聞朝刊=

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