●「公的サービスだけでは限界」
調査は福岡県内のある自治体との共同事業として、自宅で暮らす60歳以上を対象に行った。5つの学校区で、60歳以上人口の約1割にあたる3千人を無作為に抽出。そのうち同意を得た2973人を対象とした。
民生委員が自宅を訪問し、インタビューと調査票による聞き取りを2002年から1年ごとに続けた。
07年までの5年間で381人が亡くなった。研究は、この死亡者が家族と同居していたか独り暮らしだったか、家族や友人の介護を受けられる環境だったかなどを分析し、暮らしぶりと死亡との関連を探った。
居住形態については(1)家族と同居していて十分な介護力がある(2)同居しているが、家族が虚弱で十分な介護力がない(3)同居しているが、家族が仕事をしており十分な介護力がない(4)同居する家族が介護保険サービスを受けている、いわゆる老老介護(5)独り暮らしだが家族や友人の支援を受けることができる(6)独り暮らしで家族や友人の支援がない-の6群に分類した。
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その結果、女性は居住形態と死亡の関連は認められなかったが、男性は居住形態によって亡くなる人が多い群があるなど「死亡リスク」に差があった。
同居者に十分な介護力がある(1)群に対し、同居者に十分な介護力がない(2)と(3)を合わせた群は死亡リスクが1・4倍、(4)の老老介護群は1・9倍高かった。独居で支援が受けられない(6)群では6・4倍にも達した。
さらにこの関連は、何らかの介護を必要とする人たちほど顕著だった。「身体能力が低い」と判断された対象者では、同居者に十分な介護力がない(2)(3)群の死亡リスクは2・0倍で、(4)群の老老介護は5・0倍、(5)群の独居で支援ありは2・7倍、(6)群の独居で支援なしは12・2倍だった。
また、独居で支援を受けられない(6)群は、身体的に介護を必要としない人たちでも、死亡リスクが4・2倍と高い結果となった。
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分析をした藤野医師は「高齢者の居住形態および同居者の介護力が健康状態に影響していることが明らかになった。特に、虚弱高齢者同士が同居している老老介護においては死亡リスクが極めて高かった」と指摘する。
居住形態による死亡リスクは、介護保険サービスを受けているかどうかで差はみられなかったといい、松田医師は「家族や友人による支援は、公的介護サービスとは異なる機能を果たしている」とみる。

松田医師は、特に高齢の男性が心掛けることとして(1)自分で家事ができるようになる(2)地域とのつながり・交流を深める-という、ある程度の「自立とコミュニティー的な連帯」が重要になってくると話している。
【写真説明1】藤野善久准教授
【写真説明2】松田晋哉教授
【写真説明3】高齢者男性の居住形態と死亡リスク
=2009/03/02付 西日本新聞朝刊=





