
-満足できるものか。
「著しく立ち遅れていた化学療法・放射線療法の推進や医師の育成、患者の相談支援を掲げたのは、不十分な点もあるが評価できる。死亡者数20%減や検診受診率50%などの数値目標が明記されたのも、以前と比べると大きな前進だ」
-不十分な点は。
「化学療法を専門とする腫瘍(しゅよう)内科医や血液内科医は少なく、放射線治療医も足りない。その現状を踏まえ医師育成が重点項目になったが、具体的な方策は示されていない。都道府県でも、大学で専門医を養成しようと昨年度から始まった文部科学省の『がんプロフェッショナル養成プラン』と連携している計画は、ほとんどない」
-患者にとって情報提供や支援の意味は。
「多くの国民は、がんの現状を知らない。わたしがそうだったように、がんになるとは思いもせず、なって初めて専門医がいない、どの病院に行けばいいか分からない、という状況に気付く。患者にとって重要なのは、納得して治療を受けること。それには、情報とともに精神的な支援が欠かせない。知識を得ると患者は適切な治療が受けられる病院を選ぶようになり、医療の質の底上げにもつながる」
-支援する側も人手不足のようだが。
「患者団体やボランティアを活用すればいい。患者の相談に乗ったり、情報を載せた冊子やホームページをつくるのを手助けしたりできる。病気の経験者だからこそできることもあるはずだ」
-がん対策は進むか。
「多くの国民は、がん対策計画の内容を認識していないと思う。医療者の中でも(がんの発生や死亡などを集計、分析し診療に役立てる)がん登録への関心は低く、緩和ケアに習熟した医師も絶望的に少ない。取りあえず計画という箱はできようとしている。その中身と実現できるかどうかが問われることになる」
【写真説明】がん対策について語る悪性リンパ腫の全国患者団体「グループ・ネクサス」の天野慎介理事長=東京都港区
=2008/03/24付 西日本新聞朝刊=





