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「脳疲労」が現代人むしばむ 肥満、生活習慣病、心の病

[キーワード]医療情報

[更新日時]2007年10月07日

 ■起因するのは… 「抑制せず、心地よいことから」

 太ったのは脳の疲労が原因-。そんな独自の仮説に基づくダイエット方法「BOOCS(ブックス)」を、医療法人社団ブックス(福岡市博多区)の藤野武彦理事長(69)=九州大学名誉教授=が提唱している。肥満や生活習慣病、うつ病などの現代人をむしばむ多くの病は「脳疲労」に起因するのではという仮説で、回復のキーワードは「脳を癒やす」だ。 (江藤俊哉)

 ■安倍前首相も?

 「安倍さんも脳疲労ではないか」。藤野理事長はそう語る。「体調悪化」を理由に辞任した安倍晋三前首相。公表された病名は「機能性胃腸障害」だが、藤野理事長は会見でのさえない表情などから「首相職の重圧からくる脳疲労が原因」と推察する。

 藤野理事長によると、大脳には知的中枢の新皮質と、情動や本能の中枢の旧皮質があり、さらに食欲や自律神経の中枢の間脳がある。これらは密接に関連しながら機能しているが、過剰なストレスが加わると諸機能がバランスを失う。その状態が「脳疲労」という。

 脳疲労は、体や心にさまざまな異常をもたらす=図参照。

 例えば肥満。藤野理事長の調査では、肥満患者の多くは味覚が鈍く、甘いものや脂っこいものを多量に食べないと「甘み」や「うまみ」の欲求が満たされない。食欲中枢も不全で満腹感を得られない。五感や認知の異常が過食という行動異常を招き、肥満という身体異常に至るというわけだ。

 ■1日一快食を


 では、脳疲労の状態で無理に食事制限を行うと、どうなるか。

 藤野理事長は「食べるな、運動しなさい、といった指示が新たなストレスとして脳疲労を悪化させる恐れがあり、失敗のもと」と指摘する。

 そこで、提唱しているのがブックス法の「二原理三原則」。

 原理は(1)自分で自分を禁止・抑制しない(「禁止」を禁止する)(2)自分にとって心地よいことを1つでも始める。原則は(1)健康に良いことでも、嫌なら決してしない(2)健康に悪くても、好きでたまらなければ取りあえずそのまま続ける(3)健康に良くて自分が好きなことから始める-で、具体的には1日一度は質量とも満足できる食事を取る「1日一快食」を勧めている。逆に、タバコや酒を急に止めるような指導もしない。

 ■調査結果は良好


 藤野理事長は心臓病専門の内科医だった九大時代、患者に病の大敵である肥満防止を指導していたが、減量に失敗する者が少なくなかったという。患者らの「意志が弱い」とは思えず、肥満について研究したのが脳疲労に着目したきっかけ。

 九州大学健康科学センター教授だった1990年ごろから脳疲労の解消を提唱し、92年からは毎年、福岡県内市町村の太った職員500人にブックス法を集団指導。当初5年間の追跡調査結果は95%が減量に成功し、生活習慣病関連の数値全般にも改善効果がみられたという。

 2002年には福岡市と東京にクリニックを開設し、ブックス法による診療も始めている。

 今のところ、ブックス法は仮説に基づくダイエットにすぎないが、藤野理事長は「今後は脳神経科医とともに動物実験などを行い、理論を実証したい」と話している。

【写真説明1】藤野武彦理事長
【写真説明2】脳疲労仮説による発症の仕組み


=2007/10/07付 西日本新聞朝刊=

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