●防止は正しい知識から バランス取れた食事を

筋肉や精神の高揚を図る目的で禁止された薬物を使うドーピングは、選手生命を左右する重大な問題です。五輪大会の終了後に違反が発覚してメダルをはく奪される選手がいましたし、野球のメジャーリーグやラグビーでも不正が見つかっています。こうした行為はフェアプレー精神に反するだけでなく、スポーツの価値をおとしめることにもなります。
かつては禁止薬物について国際基準がなく、大会によって異なることもありましたが、1999年に世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が定め、以後毎年1月1日に更新されています。日本でも2001年にJADAが設立され、各種目の協会が加盟し、指導者やドクターの講習など啓発をしています。
検査は、競技終了後に無作為に選んだ選手の尿を調べます。WADAの禁止リストにある薬物が検出されれば陽性となり、さらに詳しい検査がされます。
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スポーツ選手の多くは、風邪薬やドリンク剤を飲むにも神経を使います。禁止薬物が使われていることも考えられますし、胃薬や風邪薬を服用した選手が陽性となったこともあります。たった一度の失敗が競技人生を狂わせ、ほかの選手にも疑惑の目を向けます。ドーピングを防ぐには正しい知識が必要なのです。
私は93年から九州ソフトボール協会のドクターとして選手の指導にあたってきました。禁止薬物のリストを配布して注意を呼び掛けています。
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福岡ソフトバンクホークスでは、07年8月に当時在籍していた外国人選手が、脱毛症の治療薬であるフィナステリドを使っていたことで日本のプロ野球史上初めてドーピング陽性となり、出場停止処分を受けました。
それに伴い私が同年、球団のメディカルアドバイザーに就任しました(フィナステリドは09年1月、WADAの禁止リストから外されました)。今春の宮崎キャンプでも禁止薬物についての講習会を開きました。
ドーピングは、アマチュアスポーツも避けて通れない問題です。03年には夏季国体で検査が導入されました。高校のスポーツ大会でも種目によって実施されており、今後は高校総体でも導入の動きが出てくるでしょう。サプリメントで栄養を補給する子も増えているようですが、安易に頼るのは避けたい。基本は規則正しい生活と、バランスの取れた食事です。そのうえでサプリメントで不足分を補えばいい。必要な栄養を摂取できているかどうか、栄養士に確認するのもよいでしょう。
興奮剤を継続して使用した選手が心臓に負荷がかかり、競技中に死亡した例もあります。筋肉増強剤は体内のホルモンバランスを崩してしまいますし、競技生活を終えて体調不良が見られる場合もあります。
JADAは、薬の正しい使用法に精通した薬剤師を養成する「スポーツファーマシスト制度」を今年導入しました。これからは選手や指導者も正しい知識を習得することが、違反防止につながると思います。
【写真説明】ドーピングの怖さを語る石橋千和医師=佐賀県鳥栖市
=2009/07/27付 西日本新聞朝刊=




