●高コレステロール治療
「高脂血症を認めます」。福岡市の30代の男性が4年前、職場で受けた健康診断結果の通知票にはこんな注意書きがあった。男性は生活習慣改善を決意した。
当時の総コレステロール値は「225(mg/dl)」。基準値の220未満の範囲を上回り、中性脂肪などの数値も大きくオーバー。身長170センチで体重は80キロに迫っていた。
自分でも生活習慣に問題があることは分かっていた。平日は昼も夜も外食。得意先と飲酒の機会が多く、翌朝は2日酔いで食事を抜くこともしばしばだった。
当初はスポーツジムやプールに通ったりしたが「3日坊主の繰り返し」だった。自分に合ったダイエット方法を試行錯誤の末、昼は野菜の煮物などが中心の定食を腹八分で食べるよう心がけ、夜は酒を飲んだ日も、毎日約20分歩いて帰宅することを日課と決めた。
効果は徐々に現れた。体重は7キロ減。ウエストも5センチほど細くなった。
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ところが、昨年春の健康診断で男性は再び肩を落とした。せっかくスリムになったのに、総コレステロール値は下がるどころか、わずかに増えていたからだ。
「大丈夫、改善されていますよ」。福岡大医学部の朔(さく)啓二郎教授(循環器内科)の言葉に、男性は胸をなで下ろした。教授が指さしたのは健診結果通知票の血中脂質を示す項目のうち「HDLコレステロール値」。
男性のHDL値は、4年前の49(mg/dl)から2年前に58、昨年は71へと徐々に増えていた。
HDLは「善玉」のコレステロールと呼ばれ、血管をもろくしたり詰まりやすくして動脈硬化を促す「悪玉」のLDLとは区別される。朔教授によると、善玉は「かいがいしく血管を掃除してくれる働き者」。適度な運動によってHDLは増加し、血管にたまった悪玉のLDLを肝臓へと運び出す働きがあるそうだ。
この男性の場合、悪玉が減ると同時に善玉が増えたため、総コレステロール値そのものに変化はなかったと推測される。
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食事制限や運動を続けても、コレステロール値が改善されない場合は、数値を下げる薬物治療をする。最近は、薬の処方をめぐる基準や考え方に変化も生じている。
日本動脈硬化学会は2002年、薬物治療に頼りがちだった過去の傾向も踏まえ、患者の生活習慣の改善に重きを置いた新ガイドラインを策定。患者それぞれの健康状態をきめ細かく分類した上で、治療方針を判断する内容となっている。
この新ガイドラインでは、糖尿病や高血圧、喫煙、年齢(男性45歳以上、女性55歳以上)などの危険因子が重なるほど、動脈硬化の危険性が高まることを重視。患者がこれらの危険因子をいくつ持っているかによって、コレステロール値などの脂質管理目標値を細分化している。
それによると、危険因子を持たない場合の管理目標値は総コレステロール値240未満としており、220未満だった従来の基準より緩和した。一方、危険因子が3つ以上あるか糖尿病の場合は危険性が高いとみて、目標値を200未満と厳しく設定している。
近年、メタボリック症候群が注目されるのも、危険因子を複数持つ人は心筋梗塞などの危険性がぐんと高まるためだ。久留米大医学部の池田久雄教授(循環器科)は「効果の高い治療薬も出ているが、いずれにしても生活習慣の見直しが前提となる」と強調している。
●「早食いの子ども 太りやすい」立証 ライオンや東京歯科大が調査

早食いする子どもほど肥満になりやすいとの研究結果をライオン歯科衛生研究所(東京)と東京歯科大がまとめ日本口腔(こうくう)衛生学会で報告した。同研究所などはサラリーマンを対象にした2001年の調査でも「早食いは肥満のもと」とする結果を発表しており「子どもも同じであることが裏付けられた」としている。
調査は沖縄県石垣市など八重山地区で、小学5年の256人(男子137人、女子119人)を対象に実施。体格の判定には、子どもの肥満度を調べるのに使われるローレル指数を用いた。指数は、体重(キログラム)を身長(メートル)の三乗で割り十を掛けて算出、数値が高いほど肥満になる。
指数が最も高かったのは「他人と比べ食べるのが早い」と答えたグループ(45人)で、指数の平均は141。「どちらともいえない」(141人)は131、「遅い」(70人)は125だった。いずれの数値もローレル指数の判定では「標準」に当たるが、同研究所は「早食いの子供ほど肥満度が高い。ゆっくり食べてよくかめば、少量の食事で満足感を得られるため指数が低くなると考えられる」と分析している。
食事量については「一口の量が少ない」(57人)の指数は129、「多い」(43人)は139で「一口の量が多いと流し込んで食べる傾向があり、よくかまないために指数が高くなった」とみている。肥満との関係が指摘されている間食の回数や夜食の有無も検討したが、ローレル指数との関連性は認められなかったという。
(写真=早食いとローレル指数の関係)




