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西日本新聞 医療・健康

特集記事

乳児は重症化の心配 ほぼ100%が経験 RSウイルス感染症

[キーワード]小児科

[更新日時]2008年03月16日

 ■せき・接触、気付かぬうちに

 冬から春にかけて流行しやすい呼吸器系の病気に「RSウイルス感染症」がある。聞き慣れないが「かぜ」と似た症状で、大半の人が2歳になるまでに感染経験がある。鼻水が出て発熱し、重症の場合は肺炎も引き起こす。特に乳児は重症化しやすく、生涯を通じて繰り返しかかることから、免疫力が低下した高齢者も注意が必要だ。 (鶴加寿子)

 ▼大半は軽症だが

 1月末、福岡市東区の主婦(31)は、長男の鼻水とせきに気付いた。生後5カ月半。いったん回復したと思ったが、4日後、長男の呼吸は発熱とともに荒くなり、せきこんで母乳も吐くようになった。たんも出た。病院に連れて行くと、3日間の入院となり、RSウイルス感染症と診断された。

 福岡市立こども病院・感染症センターの青木知信副院長(小児科医師)によると、大半の人間が二歳までにRSウイルスに感染し、うち半数は生後初の冬から春にかけて感染する。残念ながら、出産前に母体で受けた抗体で完全に防止することはできない。

 感染すると、発熱、鼻汁などの「上気道炎症状」が起き、大半は1-2週間で回復するが、重症となれば細気管支炎や肺炎などの「下気道疾患」を起こし、肺胞につながる細い気管が腫れて、呼吸が苦しくなる。とりわけ一歳未満の患者の3割が下気道疾患を伴う。

 因果関係は明らかでないが、生後四週未満の乳児は、突然死につながる無呼吸が起きることもあるという。

 ▼予防薬はあるが

 「今のところ、RSウイルスの特効薬はなく、合併症のメカニズムも解明されていない」と、青木医師は語る。

 医療機関は対症療法を施しており、軽症であれば睡眠や栄養、水分をとり、安静にして経過をみる。もちろん、重症の場合は、専門医による治療が必要だ。

 一方、予防薬としてモノクローナル抗体製剤「パリビズマブ」があるが、パリビズマブは体重三キロの乳児に対する投与1回分の販売価格が約8万円と高額。患者側の負担は、福岡市など自治体によって無料のところもあるが、適用範囲は早産児や慢性肺疾患児、先天性心疾患児など、RSウイルス感染が致命的となる「ハイリスク児」に限られ、対象外の子どもには使えない。

 ▼感染力は約30分

 RSウイルスは、体外に出ると、皮膚やちり紙、衣類などの上で約30分間、感染力を保つ。

 国立感染症研究所によると、RSウイルスは「10億分の一メートル」の超微粒子で、せきをしたときに飛び散ったり、つばや鼻水が付いた手指や物が触れたりして他人に感染する。発症までの潜伏期間は平均4-6日という。

 また、2000年ごろから米国を中心に、高齢者も重症化する危険性を指摘する研究が発表されている。米国では死亡原因をウイルスや細菌別にみると、死者がインフルエンザに次いで2番目に多いという。

 青木医師によると、乳幼児の場合は家庭内、高齢者の場合は高齢者施設内などで感染するケースが多い。

 感染していることに自覚のない人が乳幼児や高齢者に接触してうつしているとみられ、乳児や高齢者の肌に触れる前はよく手を洗い、せきが出る場合はマスクを着用するなどの心掛けが大事という。

 青木医師は「完全に感染を防ぐことは難しいが、乳児や高齢者には特にうつさないように注意を。呼吸が苦しそうな場合は早めに受診してほしい」と呼び掛けている。

【写真説明1】青木知信医師 福岡市立こども病院・感染症センター
【写真説明2】RSウイルス感染症の症状

=2008/03/16付 西日本新聞朝刊=