西日本新聞社

1126

水曜日

福岡
(あす)

晴

20℃9℃

佐賀
(あす)

晴

20℃6℃

大分
(あす)

晴

17℃10℃

熊本
(あす)

晴

19℃7℃

長崎
(あす)

晴

19℃10℃

宮崎
(あす)

晴

19℃8℃

鹿児島
(あす)

晴

20℃11℃

山口
(あす)

晴

18℃6℃

西日本新聞 医療・健康

特集記事

腰痛治療「AKA―博田法」 関節異常、手技で改善 福岡・三愛病院 内田院長に聞く

[キーワード]整形外科

[更新日時]2008年02月18日

 ●少ない専門医、医学的実証が課題

 多くの人を悩ませる腰痛。厚生労働省によると、自覚症状がある人は全国で1200万人を超えるとされ、まさに国民病だ。その治療法の1つに、手術や注射を必要としない「関節運動学的アプローチ(AKA)-博田法」がある。腰の関節異常を手技で治すというもので、実践者の1人、水泳日本代表選手団のチームドクターとして北京五輪に同行予定の内田泰彦・三愛病院院長に聞いた。(田中直子)

 ■診療は10分程度

 三愛病院は、福岡県嘉麻市牛隈にある。

 大分県の女性(50)は腰痛に加え、半年前からひざにもしびれを感じ、歩くのがつらくなった。整形外科で鎮痛剤をもらったが痛みは消えない。「早く治したい」との思いは切実で、複数の医療機関を受診したものの改善せず「ドクターショッピング(医師のはしご)に終わってしまった」という。

 そんなときに知ったのがAKA-博田法。1月下旬、三愛病院で受診し、内田院長から、ひざの痛みは腰の関節の機能障害からきているとの診断を受けた。腰からひざや肩に痛みを誘発する「関連痛」という。

 内田院長は骨に異常がないかを確認し、診察台に横たわる女性の骨盤周辺を軽く押したり、ゆっくり持ち上げたりした。さらに、ひざも同じように押した。この間、10分程度。ベッドにあおむけになった状態で、治療前は上がりにくかった足が上がるようになった。

 「治療に痛みはなく、気持ちよい感じがした」と女性。10年前からAKAを実践している同病院には、患者が月に約500人も訪れる。院長によると、うち8割に改善が見られるという。

 ■大半は原因不明

 AKAで治療するのは、腰の腸骨と仙骨をつなぐ「仙腸(せんちょう)関節」だ。日本リハビリテーション医学会専門医の博田節夫医師が1979年に技法を開発し、医師の手で動きにくくなった関節を動きやすくする。

 「腰痛の90%はもともとの原因がよく分からないといわれている」と内田院長。姿勢の悪さや激しい運動、老化や精神的ストレスなど、さまざまな要因が考えられるが、それらは絡み合い、痛みの根源を突き止めるのは難しい。

 例えば、腰椎(ようつい)の骨と骨の間を埋めるように存在する組織「椎間板(ついかんばん)」の異常で腰痛を起こす椎間板ヘルニアは、腰痛のない人にも見られる場合がある。椎間板の異常と腰痛は必ずしも直結しないという。

 内田院長は「仙腸関節の異常が痛みを引き起こすというのがAKAの理論」と説明する。

 ■高い技術が必要

 同病院では、ぎっくり腰から慢性腰痛まで、骨折、骨髄炎などを除き、ほとんどの腰痛治療にAKAを試している。

 関連痛にも効果が期待でき、1回の治療で回復する場合と2-4週間に一度の治療で数カ月通院が必要なケースがあるという。

 現在、AKAを行う医師は全国に58人。仙腸関節は最大でも4ミリ程度しか動かないため、小さなズレを探して改善するには高度な技術が必要で、博田医師を理事長とする日本AKA医学会(医師会員数532人)の研修、認定を受けた医師だけが「専門医」として実践できる。

 ただし、AKAは保険診療外で費用はかかる。あるクリニックの初診料は1万円で、治療1回当たり9500円の設定。医療機関によって料金は異なり、同医学会は「受診前に問い合わせてほしい」としている。

 一方、仙腸関節の動きを改善すると痛みが解消されるという現象も理論的には解明されていないため、医療関係者の間には効果への異論もある。

 同医学会は「AKAの効果を医学的に実証することが今後の課題」としている。

【写真説明1】AKA―博田法を実践する内田医師。腰部の関節をわずかに動かして、腰痛を治療する
【写真説明2】仙腸関節の図
【写真説明3】AKA―博田法を行う九州・山口の医療機関

=2008/02/18付 西日本新聞朝刊=