
●福岡市立こども病院・感染症センター眼科医 後藤美和子氏
遠視は、目に入った光線が角膜や水晶体で屈折して像を結ぶ焦点が網膜よりも後ろにある状態です。近くのものも遠くのものもピンボケしてはっきり見えません。
乳幼児期は眼球が短く、水晶体と網膜の距離が近いため、遠視であるのが普通です。このころは水晶体の厚みを無意識に調整する力も強く、それで焦点を合わせて物を見ているのです。成長とともに眼球が長くなり、遠視は解消されます。ただ水晶体の調整では間に合わないほど遠視が強いと、成長後も遠視が残る上、別の障害も招きます。

1つは「弱視」です。物を見るには目の機能だけではなく、網膜に映った像を解析して認識する脳の機能が発達していなければなりません。この発達は3歳ごろまでに急速に進み、十歳ごろには止まります。ところが、強い遠視を放置するとピンボケした像しか見ないため、刺激が不足して脳の機能が十分に発達しないのです。だから、発達期に眼鏡で焦点を合わせる必要があるのです。
また、遠視をカバーするために水晶体を厚くするなどの無理を続けると、頭痛がしたり、斜視になる場合もあります。
遠視は「治る」「治らない」というものではありません。ただ、遠視が招く障害を防ぐことはできます。そのために幼いころに眼鏡を掛けることが必要なのです。 (ごとう・みわこ=福岡市中央区)
【写真説明1】後藤美和子氏 福岡市立こども病院・感染症センター眼科医
【写真説明2】遠視の仕組み
=2008/07/06付 西日本新聞朝刊=




