
■久留米大医学部准教授(小児外科部門) 田中 芳明氏
食道と胃をつなぐ部分には胃の内容物や胃酸が逆流しないようにさまざまな仕組みがあり、バルブのような働きをするのが「下部食道括約筋」です。口から入った食べ物や水分は、収縮している括約筋が緩んで胃に送り込まれます。
ご相談のケースは、のみくだす際の通過障害とみられ、今後(1)吐き戻し、(2)胸の痛み、(3)急激な体重の減少―などの症状が出てくるようでしたら「食道アカラシア」という病気を疑ってみる必要があります。
アカラシアは「弛緩(しかん)不全」という意味で、下部食道括約筋を動かす神経の変性が直接の原因とされますが、詳しくは解明されていません。珍しい病気であり、乳幼児期の発症例も報告されていますが、多くは学童期から成人期にかけて発症するといわれます。

診断には食道のエックス線撮影や内圧検査をし、軽度であれば経過を観察します。症状に応じてバルーンを使った食道の拡張術や薬物療法を選びますが、効果が得られないようでしたら手術を検討することになります。
ただし、お子さんは症状が軽いと思われ、検査で何の異常も見つからないかもしれません。この場合、アカラシアではなく、幼少時の食事の際に嫌な経験をしたなど、心因性の症状ではないかと考えることになります。適切な治療を受けるためにも、近くの病院で検査を受けてみてください。(たなか・よしあき=福岡県久留米市)
【写真説明1】久留米大医学部准教授(小児外科部門) の田中 芳明氏
【写真説明2】正常な状態と食道アカラシアの状態の食道
=2008/03/30付 西日本新聞朝刊=




