
●福岡大学病院耳鼻咽喉科診療部長 中川 尚志氏
顔の表情筋を動かす神経に異常が生じる顔面神経まひには、外傷性や脳の障害による中枢性など幾つかの種類がありますが、8割近くは耳が原因です。ヘルペスウイルス感染が主因とされる「特発性顔面神経まひ」(ベルまひ)が全体の約70%を占め、帯状疱疹(ほうしん)ウイルスが原因の「ハント症候群」も10%ほどあります。相談の事例はベルまひと考えられます。
ベルまひは、耳の中にある顔面神経の神経節に潜在するウイルスが何らかの理由で再活性化して発症するとされていますが、詳しい原因は分かっていません。
まひから5日以内に、神経の炎症を抑えるステロイド薬を使った治療を開始します。初期には抗ウイルス剤を併用することもあります。数週間で自然に治ることが多いのですが、中程度であれば半年ほどまひが続くことも少なくありません。神経が再生する過程で、目と口が同時に動く「病的共同運動」が起きることもあり、医師の指導を受けて根気強くリハビリに努めてください。

自宅では、表情筋の血流改善などのため蒸したタオルで顔の筋肉をほぐす温熱療法や、5分程度の顔面マッサージを1日に6回前後行うといいでしょう。
患者は、外出を避けるなど「生活の質」(QOL)が低下しがちです。心理的負担が軽くなるよう周囲の心配りも大切です。 (なかがわ・たかし=福岡市城南区)
【写真説明1】福岡大学病院耳鼻咽喉科診療部長 中川尚志氏
【写真説明2】顔の表情筋のイメージとマッサージの方法
=2008/01/13付 西日本新聞朝刊=





