
●かもりクリニック副院長(耳鼻咽喉科) 家守 千鶴子
味覚に障害が起こる最も大きな原因は亜鉛不足です。摂取に努めても改善されない場合は、薬剤などの副作用が考えられます。高血圧の薬や鎮痛剤など、定期的に複数の薬剤を服用していると、副作用によって味覚が低下してしまうことがあります。
次に多いのが口の中の炎症。歯肉炎や舌の炎症などによって味覚に異常を来すこともあります。痛みなどの自覚症状がないケースもあり、きちんとした診察が必要です。また、貧血や胃の病気、腎臓病など「消耗性疾患」が味覚に影響していることもあります。

味を感じるのは「味蕾(みらい)」と呼ばれる小さな器官で、舌の上や上あごに1万個近く分布しています。味蕾をつくる細胞群は、新陳代謝を繰り返して加齢とともに減少、70歳を過ぎるとピーク時の半分以下になってしまいます。
亜鉛は味蕾を作るための大切な成分。食事の量が減りがちな高齢者は、十分な摂取を続けた方がよいでしょう。近年、食事の偏りなどにより、若い世代にもこうした味覚障害を訴える人が増えています。鉄分やマグネシウムの不足も関係するとされ、食事のバランスを保つことが大切です。
そのほか、食べ物のおいしさを感じない「風味障害」を訴える人もいます。「うまい」「まずい」という感覚は、においなど味覚以外の要素も強く関係しており、嗅覚(きゅうかく)の低下などを疑う必要があります。いずれのケースも、まずは耳鼻咽喉(いんこう)科の医師に相談することをお勧めします。
(かもり・ちづこ=福岡市東区)




