
●飯塚病院呼吸器内科 向笠 洋介氏
まずは痰(たん)について説明しましょう。痰は呼吸する気道を守るための大切な体の反応で、肺や気管支といった気道の粘膜から出される粘りけのある流体をいいます。
空気中の埃(ほこり)や細菌などを口から吸いこんだときに、肺の中に入り込むのを防ぐため、気道内でそれらを絡ませ、外へ排出しているのです。
通常、人は1日に約100CCの痰が出るといわれますが、自然に蒸発したり、無意識にのみ込んだりしているため認識することはありません。痰の量が増えたときに初めて気になるのです。
増える原因として考えられるのは、風邪、気管支炎、肺炎、気管支ぜんそく、たばこの吸いすぎ、結核、肺がんなどです。これらの病気によって粘液が多く作り出され、うまく排出できないために塊の状態になって出てくるのです。鼻炎や副鼻腔(びくう)炎による鼻水がのどに流れ込み、痰と勘違いすることもあります。
痰は気管支の働きにより自然に排出されることもありますが、量が増えると咳(せき)とともに出るのが一般的です。通常は透明ですが、肺炎や気管支炎などの細菌感染を起こすと黄色くなります。
血が混じることもあります。さまざまな原因が考えられますが、1つは咳のしすぎです。のどが切れて、痰を出すときに混じるのです。ただ、結核や肺がんなどの病気の可能性もあります。疑いがあれば胸部エックス線写真を撮ったり、痰の中にがん細胞がないかを調べたりすることが必要です。
冬は風邪が流行します。それにより痰が出る人も増えますが、せいぜい1、2週間もすれば治ります。
息子さんの場合、痰の状態や色などが分かりませんので、はっきりしたことは言えません。痰が2、3年も続いているのなら、もしかしたら肺や気管支に異常があるのかもしれません。
冒頭に痰は「体の反応」と述べましたが、病気の起こり始めとして、診断の大切な糸口にもなります。痰をなくすというよりも、痰が出る原因を突き止め、それを治療することが肝心です。心配なら放置せず、内科や呼吸器内科を受診してください。 (むかさ・ようすけ=福岡県飯塚市)
【写真説明】向笠洋介氏 飯塚病院呼吸器内科
=2009/01/25付 西日本新聞朝刊=





