Q・・・溶血性レンサ球菌とはどのような細菌ですか?
A・・・血液寒天培地で細菌を培養すると菌の種類によって、コロニー(集落)に完全溶血した輪を示すのを、ベーター(β)と言いこの菌をA群β溶血性レンサ球菌と呼びます(以後βを略す)。コロニーに部分的に溶血した輪を示すのをアルファー(α)溶血と言いこの菌をB群α溶血性レンサ球菌と呼び(以後αを略す)、新生児、妊婦、高齢者に敗血症、髄膜炎、骨髄炎、肺炎などを起こすことがあります。
溶血性レンサ球菌が原因となる病気を表にしました。
|
|
今回はA群溶血性レンサ球菌による咽頭炎を主に取り上げます。
Q・・・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の症状は?
A・・・症状は1)発熱。2)のどの痛み、特徴がある咽頭発赤、頸のリンパ節の腫れと圧痛、ときに発疹。3)いちご舌。他に、嘔吐や身体をきつがる。
咽頭の所見:咽頭や扁桃は赤く腫れ、軟口蓋に小さな点状出血が認められ、口蓋垂(のどちんこ)も赤く腫れる(図1)。

Q・・・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の潜伏期間は?
A・・・2日から5日です。
Q・・・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の感染経路は?
A・・・人が感染源になり、人から人へ接触感染して且つ伝染性が高い。
人が密集している場所、特に保育園、学校および家庭内では兄弟間で飛沫や接触により感染する。また、病気の急性期に感染しやすい。
Q・・・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行時期は?
A・・・季節性があり、冬場と春から初夏の2つピークがあります。
月で表すと、11月から12月に増加して5月から6月まで続きます。8月から9月は一時減少します。
Q・・・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎のかかり易い年齢は?
A・・・いずれの年齢でも起こりますが、5歳から15歳に多く、3歳以下と成人では少ない。
Q・・・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の診断は?
A・・・前述した症状や特徴のある咽頭の所見からA群溶血性レンサ球菌咽頭炎が疑われ、1)発熱、2)咽頭痛、特徴的な咽頭発赤、頚部リンパ節炎、ときに発疹、3)いちご舌(図2)が認められる場合。

以下の菌検査や抗体検査の結果を参考にして診断する。
検査は1)咽頭発赤部を綿棒で検体を採取してA群溶レン菌迅速診断キットを用いて判定。2)咽頭培養で菌を分離する。3)血液中のASOやASKなどの抗体を測定して診断の参考にします。
Q・・・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の治療法と予防法は?
A・・・ペニシリン系の抗生物質が有効で耐性菌はほとんど存在しないので、病期を短縮させ、急性糸球体腎炎やリウマチ熱の併発を予防して、他者への感染予防のためにも診断がつき次第10日間は確実に服用させる。
ペニシリンアレルギーのある人はエリスロマイシンなどを使用する。
予防は、患者との接触を避け、うがいや手洗いなどの一般的な予防方法を行う。
予防ワクチンはまだ開発されていません。
Q・・・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の合併症は?
A・・・ペニシリン系の抗生物質などでの治療が不充分な場合、頚部リンパ節炎、扁桃周囲膿瘍、咽後膿瘍、中耳炎、副鼻腔炎を合併することがあります。
咽頭炎や膿痂疹が治った後1から2週間位経ってから、溶血性レンサ球菌の株によっては急性糸球体腎炎(浮腫:身体のむくみ、血尿、たんぱく尿、高血圧)を発病することがあります。現在ではまれですが、リウマチ熱を併発することもあります。
Q・・・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎に罹ると通園や登校はいつ頃から可能ですか?
A・・・保育園や学校で流行があるか、流行の恐れがあるときは、園医や学校医の意見を聞き、条件次第では通園や登校停止になります。
しかし、かかりつけ医でペニシリン系の抗生物質などの治療を受けて、症状が改善して状態が良ければ、通園や登校は可能です。
Q・・・しょう紅熱(猩紅熱)とはどうゆう病気ですか?
A・・・発赤毒素を産生するA群溶血性レンサ球菌が毒素に対する抗体を持たない人に感染して起こります。
発疹は特徴があり(図3)、発疹が現れてから診断がつくことがあります。

発疹は首の回りや四肢のつけ根から始まって、体幹から手足へと全身に広がります。
1mmから1.5mm位の深紅色の発疹が密に現れます。
顔は額や頬が紅潮しますが、口の周囲は蒼白に見えるので、口囲蒼白(図2)と言われ、麻しん、風しんでは認められない所見です。
ペニシリン系などの抗生物質で治療すると、3日から4日で発疹が消え始めるとともに薄くはげ落ちて跡は残りません。
また、手の指先や足の趾先が膜状にはげ落ちます。
咽頭はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎と同じ所見です(図1)。
舌はいちご状になります(図2)。
しょう紅熱はA群溶血性レンサ球菌感染症の発疹が出る一病型として判断されます。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は早期にペニシリン系の抗生物質などの治療を行えば、容易に治癒して合併症のほとんどが、予防出来ます。
溶血性レンサ球菌は身近な細菌ですが、急性糸球体腎炎やリウマチ熱を併発すればやっかいです、またまれですが劇症型の報告がありますので充分な注意が必要です。
(福岡県医師会理事、日本小児科学会認定専門医 細山田 隆)





