<1>新タイプ 博多風覆す極太豚骨
北海道・札幌、福島県・喜多方と並んで日本三大ラーメンの一つに数えられる福岡・博多ラーメン。
「豚骨スープとそうめんのように細いめん」が特徴だが、最近、従来の概念を覆す新しいタイプの豚骨ラーメンが次々と誕生している。
その中の一軒「島系本店」のラーメンはまさにユニーク。丼にこんもりと盛られた野菜は荒切りキャベツと太モヤシをゆでたもの。そしてその下には、まるでうどんのような極太の中華めんが、これまたドッカリと隠れているのだ。
はしでむんずと極太めんをつかみ、ゆで野菜とよく混ぜ合わせ口へ運ぶ。にっちりと抗うめんのコシと、シャキシャキと弾けるゆで野菜の食感がなんとも楽しい。
そして厚さ一センチはあるチャーシューは、はしでほぐれるほど柔らかい。スープは豚骨のだしと背脂(せあぶら)と野菜の甘みが効いたしょうゆ味。これまさに未体験食感の豚骨ラーメンである。
「細いより太い方がめん自体のおいしさが味わえるでしょう? うちのラーメンはめんを第一に考えているんです」と南原雅明店長(22)。小麦の風味を生かした幅七-八ミリ、厚さ四-五ミリの極太中華めんは、福岡で作ってくれる製めん業者が見つからず、関東から取り寄せる。
極太めんに負けないようにとチャーシューも厚切りに。半日かけて取ったスープも、さらに小鍋で小一時間ほど煮詰め、うまさを凝縮してから使う。
昨年十一月のオープンから半年。よりストレートに極太めんのおいしさを味わってもらおうと、スープの量を極力減らした新メニュー「島そば」も発売し、細めん至上主義の博多豚骨ラーメン界に新風を吹き込む。 (升谷知夫・株式会社バフ映像プロデューサー 年間五百杯のめんを食べ、その感想をブログで公開中。アドレス=http://heno.biz/blog/)
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▼島系本店 志免町別府。月曜定休(月曜が祝日の場合は翌火曜)。電話=092(935)5257。



するすると口に収まり、もっちりと粘るコシ、ぷるんっと解けるヒキ。独特の食感がナンとも極楽な細めんの色白創作うどんと、扇子のように盛られた大ぶりのゴボウ天。北九州の「ご当地めん」となりつつある豊前裏打会(ぶぜんうらうちかい)のトレードマークである。
まずは、うどんの原料である小麦粉の研究。うま味成分であるでんぷんとコシを決めるグルテンの質と比率が味の要。さらに、生地を練る塩水の濃度や、できた生地の熟成温度と時間。さまざまな粉をブレンドし、試作に明け暮れること一年。ようやく大分市の店を超えるうどんが完成した。
豚骨ラーメン発祥の地といえば久留米。白く濁ったスープに中太のストレートめん、そして黒いのりのトッピングが主流である。そんな「豚骨帝国」に昨年五月、しょうゆ専門店「ラーメンGAKU」が登場した。
その久留米市で八年前に開業した「麺菜酒家 かつらや」も、あえて豚骨ラーメンを置かない名店。
県中心部に位置する筑豊地域。江戸時代は長崎街道の宿場町として、近代は石炭の産地として、さまざまな人や物資が行き交った交流拠点は、ラーメン文化も実に多彩。地元の店ではいろんなタイプの味が楽しめる。
「ポンポン亭本店」(嘉麻市)は豚骨、和風、塩、しょうゆ、みそ、カレーと七種類ものラーメンを提供。店主の大脇良隆さん(58)が、二種類のみそを一時間練り合わせて作るみそラーメンはコクのあるうま味と、さっぱり後味が人気だ。
うどん-。それは、博多発祥のジャパニーズ・ファストフード。「唄(うた)う!手打ちうどん 稲穂」なるユニークな屋号の店を構える岡崎健一郎さん(34)は、うどんの地位向上を志している。
めん作りはすべての工程が手作業だ。使う粉は北海道産。手作業で生地を練ることで水分を多めに保ち、生地のモチモチ感を出す。温度管理にも細心の注意を払う。「帯打ち」という手法でうどんを延ばし、やはり手作業で切りそろえる。
豚骨ラーメンは「常食性」が高いというか、いわゆる「ハマる」めん料理だと思う。ふと食べたくなると、いても立ってもいられなくなる。
あるとき、師匠とラーメンを作り比べた。同じスープを使っても全く味が違う。なぜか? スープを丼に注ぐ際、釜のどの部分からどのくらいの量をすくうかで味が決まるからだ…。
暑くなると恋しくなるのが、冷たいものと辛いもの。辛いめんの代表格といえばタンタンメンだろう。福岡市中央区の天神周辺では、ここ数年専門店が相次いでオープンしている。
六月オープンしたばかりの「福博軒」のタンタンメンは、なんと「汁なし」。丼の中にスープは入っていない。中太の縮れめんをゴマだれ、ラー油、具の肉みそをあえて食べる。実はこれが、正統派だとか。
全国に知られる豚骨ラーメン、中世以来の歴史を誇る博多のうどんに比べ、いささか影が薄かったのが「そば」の存在。ところがここ数年、福岡市の都心周辺で相次いでそば専門店がオープン。活況前夜の雰囲気が漂っている。
同市中央区渡辺通の「手打ちそば 両国」では三種類の手打ちそばが楽しめる。中でも名物は、「黒打太切」。五ミリ角はあろうかといううどんのように太いそばは、かみ応えも十分。店主の河野茂さん(59)は「そばの実のうまさをストレートに味わってほしくて考えたメニューです」と語る。
北九州市戸畑区の市場や食堂で古くから親しまれているチャンポンは、キャベツにモヤシにかまぼこにイカと、一見なんの変哲もない。が、具の下に隠れた「めん」が特徴的。チャンポンといえば太めんが相場だが、具の底から姿を現すめんはかなり細い。
戸畑チャンポンの老舗の一軒、福龍で食べてみた。なるほど。太いゆでめんのチャンポンとは明らかに食感が違う。細い蒸しめんはシュルシュルと小気味よく口に収まり、さらに強いコシともちもち感を併せ持つ。戦後の高度成長期、工場で働く人たちがこの味を求め列をなしたという。
「つけめん」を出すラーメン店が、福岡でもここ数年増えている。
「博多新風」の店主、高田直樹さん(35)も「創作性こそ魅力ですから、毎年新しいレシピで出してます」と、つけめんへのこだわりを語る。