西日本新聞

2010年03月23日

精養軒 郷愁漂う滋味スープ

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 初めて食べたのは、佐賀に着任した3年前。出身地である福岡の味の濃いラーメンに慣れていたせいか、「物足りない」と感じた。でも、今は違う。口当たりはあっさりしているが、あとから鼻を抜ける豚骨の香り。「しみじみうまい」。何度か食べるうちにそう思うようになった。

 透明感があるスープは、一見薄味であまり煮込んでいないようにも見える。しかし、豚骨のみを継ぎ足しながら1週間近く煮込み続けるというから驚きだ。店主の辻豊司さん(70)は言う。「濁らせないように気を付けていますから」

 沸騰し過ぎないように火加減は中火。あくも丁寧にすくう。長時間煮込むことでうま味を出し、むやみに混ぜない。豚骨を事前に熱湯でさらしたりと、仕込みの手間も惜しまないという。

 開業したのは父の五郎さん(享年67)だ。五郎さんは、佐賀市水ケ江でもちの卸し店を営んでいたが、昼夜逆転の生活にラーメン店への転業を決意。作り方は独学で習得し、1959年に今の場所に店を構えた。「ちゃんぽんは野菜が腐れば無駄になる。ラーメンは捨てる所が少ない」との理由でメニューはラーメンといなりに限った。

 当時ラーメンが珍しかったこともあり、すぐに人気店に。昼は出前、夜は酔客でにぎわった。辻さんも開店当初から手伝った。以来、ラーメン一筋。メニューも作り方も変えていない。

 半世紀が過ぎても店内は当時のまま。使い込んだ岡持にラーメンを載せて、愛車のスーパーカブで出前をする。今と変わらなかったであろう昔の味を思い浮かべ、郷愁にかられた。 

■メモ
 ラーメン550円、大盛りラーメン600円、特製ラーメン750円、いなりずし1個50円。営業時間は午前11時―午後6時。定休日は火曜日。電話番号=0952(23)2461。
 佐賀市伊勢町1-1

=2010/03/22 西日本新聞佐賀版 「佐賀市近郊ラーメン紀行」掲載=

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