西日本新聞

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2010年03月08日

大臣閣 直球勝負こってり豚骨


 茶褐色のスープには大量の泡が浮く。見るからに濃そうだ。一口すすると予想は的中した。武骨ながら直球勝負のこってり豚骨味。あっさり味が多い佐賀のラーメンとは一線を画しつつ、元だれは控えめで佐賀っぽさも残す。福岡県との県境に位置する場所柄を表すかのようなラーメンだ。

 角ばった中太めんはとろみがあるスープと良く絡む。一気に食べ干すと、丼の底に大量の骨髄が現れた。豚骨を強火で10時間以上ぼろぼろになるまで炊き続けた証しに、店主の梶田大蔵さん(45)は「自分はこってりしたのが好いとっけんですね、濃さで勝負したいんです」と言う。

 ラーメン店を始めたのは父義弘さん=享年(75)。ラーメン好きが高じて1962年に開業した。作り方は独学。当時からこってり豚骨が自慢で、土木作業員や木工所関係者でにぎわった。小さいころからラーメンを作る父親の姿を見ていた梶田さんも、高校卒業後に厨房(ちゅうぼう)に入った。

 程なくして仕込みを任されるようになったが、基本の“こってり”は引き継いだ。ただ、作り手が変われば味も変わる。「昔はもっと脂っぽかった。今は自分好みのこってりです」と梶田さんは胸を張る。現在は、母と妹の3人で店を切り盛り。福岡、長崎、大分など県外からの客も増えているという。

 ラーメン作りは重労働でもある。強火で炊くスープは、目を離すと焦げてしまう。スープが足りず、夜中に仕込むこともしばしばという。それでも、「一から十まで手は抜きません。雑に作ると味に反映されるから」と話す梶田さん。ラーメンに対する思いも武骨ながら真っすぐに感じた。
 
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 ●メモ
 ラーメン500円、ホルモン400円、豚焼き肉550円、ごはん(並)150円。営業時間は午前11時半―午後11時半。不定休(年間5日程度)。電話番号=0952(47)2121。
 佐賀県佐賀市諸富町諸富津138-9

=2010/03/08 西日本新聞佐賀版 「佐賀市近郊ラーメン紀行」掲載=

2010年03月23日

精養軒 郷愁漂う滋味スープ

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 初めて食べたのは、佐賀に着任した3年前。出身地である福岡の味の濃いラーメンに慣れていたせいか、「物足りない」と感じた。でも、今は違う。口当たりはあっさりしているが、あとから鼻を抜ける豚骨の香り。「しみじみうまい」。何度か食べるうちにそう思うようになった。

 透明感があるスープは、一見薄味であまり煮込んでいないようにも見える。しかし、豚骨のみを継ぎ足しながら1週間近く煮込み続けるというから驚きだ。店主の辻豊司さん(70)は言う。「濁らせないように気を付けていますから」

 沸騰し過ぎないように火加減は中火。あくも丁寧にすくう。長時間煮込むことでうま味を出し、むやみに混ぜない。豚骨を事前に熱湯でさらしたりと、仕込みの手間も惜しまないという。

 開業したのは父の五郎さん(享年67)だ。五郎さんは、佐賀市水ケ江でもちの卸し店を営んでいたが、昼夜逆転の生活にラーメン店への転業を決意。作り方は独学で習得し、1959年に今の場所に店を構えた。「ちゃんぽんは野菜が腐れば無駄になる。ラーメンは捨てる所が少ない」との理由でメニューはラーメンといなりに限った。

 当時ラーメンが珍しかったこともあり、すぐに人気店に。昼は出前、夜は酔客でにぎわった。辻さんも開店当初から手伝った。以来、ラーメン一筋。メニューも作り方も変えていない。

 半世紀が過ぎても店内は当時のまま。使い込んだ岡持にラーメンを載せて、愛車のスーパーカブで出前をする。今と変わらなかったであろう昔の味を思い浮かべ、郷愁にかられた。 

■メモ
 ラーメン550円、大盛りラーメン600円、特製ラーメン750円、いなりずし1個50円。営業時間は午前11時―午後6時。定休日は火曜日。電話番号=0952(23)2461。
 佐賀市伊勢町1-1

=2010/03/22 西日本新聞佐賀版 「佐賀市近郊ラーメン紀行」掲載=