宝来軒 客との会話生きがいに

薄く切られたチャーシューが4枚。のりとネギ、紅しょうがが添えられた丼を持ち上げてスープを一口すする。甘みがあるが、豚骨のみを15時間以上煮込んだという割には意外にあっさり。ラードをほとんど使わないためか油分も少ない。店主の原田満洲国さん(77)は「濃くならないように火加減に気を使っています」と話す。
宝来軒の前身は神埼町内で一番古いラーメン店(1954年開業)。福岡県久留米市で修業したという先代が作るラーメンが人気だった。当時、原田さんは宝来軒横の自宅でアイスキャンデー店を営んでいたが、冬は商売が成り立たず悩んでいた。その時、先代が都合で長崎県へ引っ越すことを知り、思い切って頼んだ。「宝来軒を継がせてくれんね」。快く了解してもらえた。64年のことだった。
妻の康子さん(72)と一緒に先代からラーメンづくりを教わった。めん上げはタオルを載せて練習。スープも言われた通りに作り、アイスキャンデーとラーメンの両方を出す店として出発した。「運が良いんです」と言う原田さん。先代の常連客もそのまま引き継いで繁盛した。数年後の店の改築を機に、アイスキャンデーは止めた。ただ、開業から46年間、毎日スープを継ぎ足しているという鍋の火が消えた日はない。
平日の夕方、常連客がお酒を飲みつつ、ラーメンをすすっていた。その横には、カウンターに腰掛けて楽しそうに話をする原田さんの姿があった。77歳になった今でも午前2時まで店を開ける原田さん。「お客さんとの会話が生きがい。きつくなんかない」と笑みを見せながらこう続けた。
「それもおいしいラーメンがあってこそです」
× ×
●メモ
ラーメン500円、チャーシューメン650円、おでん110円、焼き鳥100円。営業時間は午前11時―翌午前2時。不定休(年間5日程度)。電話番号=0952(52)2460。
佐賀県神埼市神埼町神埼75
=2010/02/22 西日本新聞佐賀版 「佐賀市近郊ラーメン紀行」掲載=



