西日本新聞

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2010年02月01日

うどんの佐賀県 うどん店自慢のラーメン


 店の名前は「うどんの佐賀県」。しかし、普通のうどん店ではない。チャンポン、カツ丼、焼き肉、野菜いためにラーメン-。壁一面に張られているメニューはうどん以外の方が多い。店主の竹林イワコさん(74)は「一番多く出るのはラーメンですかね」と笑う。

 同店は1976年、竹林さんと夫の広海(ひろみ)さん(享年68)の夫婦で始めた。直前まで大阪府内のうどん店で働いていたイワコさんが作るかつおだしの関西風うどんが売りで、メニューはうどんだけだった。店名は「一度聞いたら忘れん名前を」と広海さんが名付けた。

 店は工業団地の近くに立地。オープン当初から工場で働く人でにぎわった。開業から数年たったころ、「毎日来るお客さんを飽きさせないように」とメニューを増やし始めた。ラーメンは、広海さんの弟でラーメン店「幸龍」=神埼市=を営む龍水(たつみ)さん(72)から習った。98年に広海さんが他界してからは次男の晃さん(49)と2人で店を切り盛りしている。

 スープに使うのは豚の頭の骨と背脂のみ。強く炊くと濁ってしまうため、濁らせないように火加減を調節しながら約8時間煮込む。とろみがかったスープの口当たりはやさしいが、後味として豚骨の風味をしっかりと感じられる。

 「工場の人はおなかすかせとる。大盛りにせろ」。広海さんが口を酸っぱくして言っていたという。
 1番人気のラーメンセットにはご飯とコロッケ。そのご飯は常に大盛りだ。広海さんの思いはしっかりと受け継がれている。

 「これだけのお金を頂いてるんで」と口をそろえる2人。町の食堂として長年親しまれてきた理由が分かった気がした。

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 ●メモ
 ラーメン430円、ラーメンセット(ご飯、コロッケ付き)575円、ラーメンAセット(ミニ焼き飯付き)735円。営業時間は午前11時半―午後8時。定休日は日曜。電話番号=0952(30)0246。
 佐賀県佐賀市高木瀬西5丁目14-4

=2010/02/01 西日本新聞佐賀版 「佐賀市近郊ラーメン紀行」掲載=

2010年02月15日

一休軒本店 「受け継がれる伝統の味」


 「ここのがいっちゃんうまかっちゅうのは、だいでん知っとる」
 佐嘉神社前にある一休軒本店。40年前から通い始め、今でも2日に1回は来るという小学校教諭の立石康さん(60)は丼を空にした。そしてこう続けた。

 「お父さんの味が立派に残っとる」

 同店は、現在の店主大串博さん(62)の父進さん(87)が約50年前に創業した。当時、近くで屋台をしていた進さんだったが、現在の店舗が空いたことを知って一念発起。当時はまだ珍しかったラーメン店を始めた。といっても屋台で出していたのはうどんとおでんのみ。ラーメンの作り方は、既に営業していた老舗「三九」(佐賀市中の小路)の元従業員から教わった。

 街中が人であふれ返っていた当時、一休軒も三九同様にすぐに人気が出た。4、5人の従業員を雇い入れ、午前2時まで営業。店に入れない客は路上の机でラーメンを食べたという。

 博さんは20歳での結婚を機に、店を手伝うようになった。ただ、父親からの直接の指導はない。めんの湯切りやスープづくりは、見よう見まねで習得した。

 羽釜(はがま)には長時間強火で炊き続けた乳白色の豚骨スープ。丼に注ぐとスープは泡立って、食欲をそそる。一見濃厚そうだが味わいは意外にあっさり。これぞ佐賀のラーメンだ。

 本店で修業して巣立ったラーメン店もある。1980年には、博さんのいとこ本村敏光さん(67)が佐賀市鍋島町に「一休軒鍋島店」を開業。その5年後には弟の高志さん(58)も同市若楠に「一休軒さがラーメン」を開業した。それぞれの店が個性をはぐくみつつ、一休軒の伝統はしっかりと残っている。

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 ●メモ
 ラーメン550円、卵入りラーメン600円、大盛りラーメン700円、おにぎり(2個)200円。定休日は月曜。営業時間は午前11時―午後9時。電話番号=0952(26)5226。
 佐賀県佐賀市松原3-2-2

=2010/02/15 西日本新聞佐賀版 「佐賀市近郊ラーメン紀行」掲載=

2010年02月22日

宝来軒 客との会話生きがいに


 薄く切られたチャーシューが4枚。のりとネギ、紅しょうがが添えられた丼を持ち上げてスープを一口すする。甘みがあるが、豚骨のみを15時間以上煮込んだという割には意外にあっさり。ラードをほとんど使わないためか油分も少ない。店主の原田満洲国さん(77)は「濃くならないように火加減に気を使っています」と話す。

 宝来軒の前身は神埼町内で一番古いラーメン店(1954年開業)。福岡県久留米市で修業したという先代が作るラーメンが人気だった。当時、原田さんは宝来軒横の自宅でアイスキャンデー店を営んでいたが、冬は商売が成り立たず悩んでいた。その時、先代が都合で長崎県へ引っ越すことを知り、思い切って頼んだ。「宝来軒を継がせてくれんね」。快く了解してもらえた。64年のことだった。

 妻の康子さん(72)と一緒に先代からラーメンづくりを教わった。めん上げはタオルを載せて練習。スープも言われた通りに作り、アイスキャンデーとラーメンの両方を出す店として出発した。「運が良いんです」と言う原田さん。先代の常連客もそのまま引き継いで繁盛した。数年後の店の改築を機に、アイスキャンデーは止めた。ただ、開業から46年間、毎日スープを継ぎ足しているという鍋の火が消えた日はない。

 平日の夕方、常連客がお酒を飲みつつ、ラーメンをすすっていた。その横には、カウンターに腰掛けて楽しそうに話をする原田さんの姿があった。77歳になった今でも午前2時まで店を開ける原田さん。「お客さんとの会話が生きがい。きつくなんかない」と笑みを見せながらこう続けた。
 「それもおいしいラーメンがあってこそです」

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 ●メモ
 ラーメン500円、チャーシューメン650円、おでん110円、焼き鳥100円。営業時間は午前11時―翌午前2時。不定休(年間5日程度)。電話番号=0952(52)2460。
 佐賀県神埼市神埼町神埼75

=2010/02/22 西日本新聞佐賀版 「佐賀市近郊ラーメン紀行」掲載=