若者に仕事を警官OB一肌 元田川署員の藤川さん
苅田町に28日開店 退職金使いラーメン店

今年3月に福岡県警を定年退職した藤川秀人さん(60)=北九州市小倉南区朽網東五丁目=が10月28日、同県苅田町神田(じんでん)町1丁目にラーメン店「一燈(いっとう)」を開店する。退職前の田川署員時代、仕事がないと悩む若者の相談を受けたのがきっかけで「雇用の場をつくろう」と一念発起。熱い思いに知人たちも協力した。藤川さんは「店を軌道に乗せて多くの若者を雇いたい」と夢を描いている。
藤川さんは2006年4月から退職するまでの2年間、田川署総務課で若者の立ち直りを支援する相談係を担当した。「働きたいが場所がない」「生活保護を受けないで自立したい」。苦悩を語る若者に地元雇用の場は乏しく、藤川さんは「この子たちには、生活するために仕事が必要だ」と悶々(もんもん)としていた。
藤川さんは、退職後の人生設計に飲食店経営を考えていた。そこで決断し、北九州市でラーメン店「東龍軒」を展開する知人の高尾東さん(39)、純子さん(40)夫妻に相談。スープの作り方などを一から教わった。豚骨を3日間煮込んで取るスープはラーメンの命。納得できるスープを作るまでに約一カ月かかった。
当初は反対だった妻眞弓さん(57)も、親せきが経営する同市門司区の製めん所を紹介して支えてくれた。退職金の多くは店の改装費など開店資金に消えた。開店が近づき、かつて同署で相談を受けた若者たち四人をアルバイトに採用した。
メニューは、とんこつラーメン(600円)やチャーシューめん(700円)など六種類。あっさりとしながらもこくのある味が特長だ。店内は約二十席。店名は「世の中の隅を照らす」という意味を込めて命名した。
「これで胸のつっかえが少しは解消された」。開店準備の忙しさの中にも安どの表情を見せる藤川さん。「すべては協力してくれた知人のおかげ。感謝の気持ちを忘れずに経営したい」と話している。
20081017夕刊掲載



