連載「海峡の未来へ 新たな関門連携」より
市民 活性化担い動き出す―
「いらっしゃい、おいしいですよ」。今月二日、門司港レトロ地区に女子高生の売り子の声が響いた。出店に並ぶ商品は「ふぐ麺(めん)ラーメン福岡とんこつ味」。下関のフグの骨粉入り乾めんと福岡の豚骨スープで作るラーメンだ。「下関と福岡の名物を一つにしました。関門の新名物にしたい」。考案した下関商業高商業研究部長の三村康子さん(18)が声を弾ませた。
■完売を目指す
商品の企画や販売を実地に学ぶ研究部。「関門をテーマに商品ができないか」。顧問の清水純一教諭(33)が生徒に持ち掛けたのが、ラーメン誕生のきっかけだった。
「関門は生徒たちにも身近なエリア。ラーメンで地域活性化のお手伝いができれば」と清水教諭。ラーメンの愛称は「関門スペシャルかけ橋ラーメン」。門司港では用意した五十個が完売した。
九日にはJR下関駅前でラーメンを売る。地元特産のフグの骨粉入りを強調し、観光客にアピールする。門司港レトロの実績に劣らぬよう、五十個完売を目指す。
魚の風味が漂うめんとこってりしたスープ。高校生たちはラーメンを「関門グルメのブランドに育てたい」と張り切っている。
■海峡ブランド
関門海峡そのものを全国の「ブランド」にしようと、動きだしたグループもある。昨年発足した「関門地域ブランド化研究会」。メンバーは北九州、下関市のまちづくり団体や商業施設の関係者、行政マンら十六人だ。
座長の秋武政道さん(47)は門司港で「バナナマン」に扮(ふん)して、レトロ地区の活性化に汗を流してきた。年間約二百十五万人の観光客が訪れるレトロ地区だが、二〇〇三年の二百五十五万人をピークにここ数年の集客は伸び悩んでいる。
それを肌で感じる秋武さんは言う。「門司港レトロもやがては廃れる。だが、関門海峡は五十年、百年先もある。だから今のうちに、海峡をブランドにしておきたい」
秋武さんはまず、関門海峡の特色や名物を全国の人に知ってもらおうと、ご当地検定「関門検定」を企画。まだ構想段階だが、両市やまちづくり団体に呼びかけ、準備を本格化させる。
■商店街同士も
「ブランドもまちづくりも、これからは関門の時代」と話すのはブランド化研究会のメンバーで、関門地域で商店街活性化のアドバイザーをしている逆井(さかさい)健さん(42)だ。
商店街同士でも関門の連携は「にぎわいづくりの鍵になる」と考える逆井さん。今年でともに創業半世紀を迎えた門司区の中央市場と下関市の長府商店街で「姉妹縁組」ができないかと話を進めている。商店主たちの交流から活性化のアイデアを生み出すのが狙いだ。
民間での関門連携は着実に進んでいる。北九州、下関両市のホテルや飲食店など四十四施設は浴衣姿で訪れた客に、飲食代を割り引くキャンペーンを昨夏から実施。両市の青年会議所は特産品を互いのイベントに持ち寄り、PRしている。
海峡を越えて連携を深める市民の活動が、関門に新たな魅力をつくり出そうとしている。
20080809本紙掲載



