西日本新聞

2007年10月18日

<9>鉄都の味 チャンポンも個性的

01.jpg 北九州市戸畑区の市場や食堂で古くから親しまれているチャンポンは、キャベツにモヤシにかまぼこにイカと、一見なんの変哲もない。が、具の下に隠れた「めん」が特徴的。チャンポンといえば太めんが相場だが、具の底から姿を現すめんはかなり細い。

 「普通のチャンポンめんはゆでるのですが、うちのめんは蒸すんです。作り方が全く違うんですよ」と語るのは、田中製麺(めん)所の三代目店主、田中龍さん(42)。一九四〇年ごろ、取引のあった中華料理店の中華まんの蒸籠(せいろ)蒸しをヒントに初代が考案したという製法を、今も忠実に守る。

 めんのコシを決めるグルテン。通常のめん作りには、グルテンが多く含まれる強力粉や中力粉が使われるが、この蒸しめんにはグルテンの少ない薄力粉を使う。練り上げた生めんを木製の蒸籠に並べ、蒸気で十分ほど蒸した後、風を当てて一気に乾燥させる。生地の練り具合と蒸し加減の兼ね合いでめんの味と食感が決まるという。

02.jpg 戸畑チャンポンの老舗の一軒、福龍で食べてみた。なるほど。太いゆでめんのチャンポンとは明らかに食感が違う。細い蒸しめんはシュルシュルと小気味よく口に収まり、さらに強いコシともちもち感を併せ持つ。戦後の高度成長期、工場で働く人たちがこの味を求め列をなしたという。

 四大工業地帯の一つとして栄えた北九州の「ご当地めん」は、戸畑の蒸しめんチャンポンだけにとどまらない。乾めんを使った焼きうどんや、角切りの大きな肉を具に乗せた「どぎどぎうどん」など、どれも強烈なインパクトを放つ。

 庶民派グルメのパラダイス、と呼ばせていただきたい。
 (升谷知夫・株式会社バフ映像プロデューサー 年間五百杯のめんを食べ、その感想をブログで公開中。アドレス=http://heno.biz/blog/

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 ▼田中製麺所 北九州市戸畑区牧山一丁目。写真(下)は「蒸し麺」(十食入り六百円)。電話=093(871)2187。
 ▼福龍 北九州市戸畑区中原西一丁目。写真(上)は「チャンポン」(六百三十円)。電話=093(871)7091。日曜定休。

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