西日本新聞

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2007年07月02日

<4>交流拠点 多彩さが筑豊の魅力

men04_01.jpg 県中心部に位置する筑豊地域。江戸時代は長崎街道の宿場町として、近代は石炭の産地として、さまざまな人や物資が行き交った交流拠点は、ラーメン文化も実に多彩。地元の店ではいろんなタイプの味が楽しめる。

 「竜園」(飯塚市)の一番人気は横浜市のご当地めん「サンマーメン」だ。太モヤシやキクラゲ、豚肉、イカなどの具をいため、かたくり粉のあんでとじて、しょうゆ味のラーメンに載せる。トロンと柔らかなあんとパリッと弾けるモヤシの食感のコントラストがなんとも楽しい。

 店主の佐々木治義さん(57)は同市生まれ。二十二歳から十六年間、兄と二人で中華料理店を営んだ。三十八歳のとき義父を亡くし、独りになった義母の面倒をみようと飯塚へ移った。

 九州といえば豚骨ラーメン。いろんな店を食べ歩いて作り方を研究。豚骨、しょうゆ、塩、みその四種類を出す店を開いた。「ところが、いざ店を開けると、豚骨よりしょうゆの方がよく出たんですよ。

 横浜で培った自分の味が飯塚の人々に認められた気がしてうれしかったですねぇ」

 JR飯塚駅前に出した店が大繁盛、九年前に現在の場所へ移転した。肉と野菜入りのこってりラーメン「肉ソバ」や、甘みそしょうゆ味のピリ辛めん「辣辣麺(ラーラーメン)」など、さまざまななめん料理を提供する。

men04_02.jpg 「ポンポン亭本店」(嘉麻市)は豚骨、和風、塩、しょうゆ、みそ、カレーと七種類ものラーメンを提供。店主の大脇良隆さん(58)が、二種類のみそを一時間練り合わせて作るみそラーメンはコクのあるうま味と、さっぱり後味が人気だ。

 人の行き交うところに多彩な食文化が根付く。バラエティー豊かな味に出会える筑豊ラーメン巡りはいかが。 (升谷知夫・株式会社バフ映像プロデューサー 年間五百杯のめんを食べ、その感想をブログで公開中。アドレス=http://heno.biz/blog/

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 ▼ラーメンと餃子の店 竜園 飯塚市若菜。火曜と第三月曜が定休。

 ▼ポンポン亭本店 嘉麻市岩崎。電話=0948(43)1579。月曜定休。

2007年07月09日

<5>地位向上 丁寧なうどん目指し

0709_01.jpg うどん-。それは、博多発祥のジャパニーズ・ファストフード。「唄(うた)う!手打ちうどん 稲穂」なるユニークな屋号の店を構える岡崎健一郎さん(34)は、うどんの地位向上を志している。

 「同じめんなのに、そばやラーメンに比べて、うどんってあまりにも軽く思われている気がするんです」

 古くから大陸文化の玄関口として栄えてきた福岡市。博多区の承天寺には「うどん発祥の地」の碑が残る。ゆで置きの柔らかいうどんを手早く温め直し、温かいかけ汁でささっと食べる。その手軽さが、博多うどん流の魅力ではある。が、岡崎さんは、丁寧なうどん作りにこだわる。

 学校卒業後、しばらく居酒屋で働いた。「手に職を持ちたい」と、26歳のとき一念発起。香川県内の讃岐うどん店で修行した。福岡へ戻って会社勤めで開店資金をためながら、独学でうどん作りを研究してきた。

0709_02.jpg めん作りはすべての工程が手作業だ。使う粉は北海道産。手作業で生地を練ることで水分を多めに保ち、生地のモチモチ感を出す。温度管理にも細心の注意を払う。「帯打ち」という手法でうどんを延ばし、やはり手作業で切りそろえる。
 
 だしも個性的である。一般的な昆布やかつお節だけでなく、中華料理の食材として知られる干し貝柱を使っている。
 
 「具うどんもいいですが、かけうどんを大切にしたいんです。うどん作りの良しあしがストレートに味に出るメニューですから」。そのめんは、唇をこするつやっぽい触感が特徴。にっちりとしたコシとヒキ。鼻へと抜ける小麦粉の風味がほんのり香る。
 
 博多うどんでも、讃岐うどんでもない独自のうどんを作りたい。さらなる味わいを目指して、岡崎さんの精進は続く。 (升谷知夫・株式会社バフ映像プロデューサー 年間500杯のめんを食べ、その感想をブログで公開中。アドレス=http://heno.biz/blog/) 

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▼唄う!手打ちうどん 稲穂 福岡市早良区野芥3丁目。電話=092(873)0086。定休は木曜と最終週の水曜。写真は「ひやかけうどん」(450円)

2007年07月16日

<6>豚骨主義 繊細な味にこだわり

0716_01.jpg 豚骨ラーメンは「常食性」が高いというか、いわゆる「ハマる」めん料理だと思う。ふと食べたくなると、いても立ってもいられなくなる。
 
 遠賀町の「南京ラーメン黒門」店主、川内久門さん(49)も見事にハマった1人。建築資材会社の営業マンだったころ、北九州市の老舗豚骨店「黒木」の味にほれ込んだ。 2年半、会社が休みの土曜日に早朝から店に通い、見よう見まねでスープの仕込みを学んだ。跡取りがいない黒木の味を「絶やしたくない」と、5年前に脱サラして黒門を開業した。
 
 メニューはラーメン、大ラーメン、おにぎりの三種。あくまで豚骨にこだわる主義だ。「豚骨って大味な印象もあるでしょう? 実は、サッパリとしたダシが出る繊細な食材。材料の質や炊くときのちょっとした火加減で日々味が違うんです」。作り手になって実感した奥深さである。
 
0716_02.jpg あるとき、師匠とラーメンを作り比べた。同じスープを使っても全く味が違う。なぜか? スープを丼に注ぐ際、釜のどの部分からどのくらいの量をすくうかで味が決まるからだ…。
 
 「豚骨のあまりの奥深さに、ある種の恐ろしささえ感じました」。今は亡き師匠の味を超えたいと、川内さんは今日もスープ釜に向かう。
 
 福岡でラーメンといえば、イコール「豚骨」といっても過言ではない。そんな豚骨派にとっての一大事が先月あった。
 
 博多豚骨の象徴的な存在「元祖長浜屋」(福岡市中央区)が突然休業。正月のほか24時間営業の店がなぜ? 自ら店を訪ね「独自取材」したファンたちによる休業理由の憶測がインターネット上を飛び交い、廃業説も浮上。ネットの掲示板では、店の存続を願う署名活動まで始まった。
 
 結局、無事に営業再開したものの、一連の騒動は尋常でなかった。それほど人々は豚骨ラーメンを愛してやまない。(升谷知夫・株式会社バフ映像プロデューサー 年間500杯のめんを食べ、その感想をブログで公開中。アドレス=http://heno.biz/blog/
 
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▼南京ラーメン黒門 遠賀町島門。写真は「ラーメン」(500円)。電話=093(293)1314。定休は月曜と第3日曜。