豚骨「聖地」 家族愛が詰まった味[ニュース]
麺食い記者が行く<1>豚骨「聖地」 家族愛が詰まった味
シャキッとしたメンマの歯応えに縮れ麺(めん)のもちもち感が混ざり合う。あっさり風味の豚骨スープをすすると、舌の記憶が完全によみがえった。久留米市中心部の屋台「南京千両」。刻んだチャーシューもそのまま。十年前と変わらぬ味がそこにあった。
新聞記者になり、初任地が久留米だった。豚骨ラーメン発祥の地。数多くの店を食べ歩いたが、一九三七年創業の南京千両は、豚骨の「聖地」。のれんをくぐるときにはちょっとした緊張感を味わった。豚骨ラーメンの歴史は、この店から始まったのだ。
「半端じゃない常連さんがいますからね。『昔の方がうまかった』とか言われるとかなりへこみますよ」。三代目の宮本宝委(たかとも)さん(32)は苦笑いを浮かべる。七十年近く通う九十代のおじいちゃんもいるという。宝委さんは小学生のころから、祖母のソノさん(96)と母親のチエコさん(67)が切り盛りする店を手伝っていた。大学卒業後は、福岡市で花店の店員をしていたが、七年前に家業を継いだ。
メニューはラーメンと卵。最近は、豚骨スープで炊いたごはん「とんこつ飯」を加えたが「ご飯ものがあることにびっくりする人もいて…。常連さんには革命だねって言われます」。
豚骨ラーメンは九州内外に広まり、模索と進化を続けるが「ラーメンの味を変えないことが誇り。自分なんかが変えていいはずがないし、怒られますよ」。豚骨ラーメンでは珍しい縮れ麺は兄の博さん(40)が製麺する。創業七十年の伝統の味。それは、ラーメン一家が紡ぐ家族愛にあふれた一杯なのだ。 (地域報道センター・高野靖之)
◇ ◇
▼南京千両 久留米市東町の明治通り沿い、熊本ファミリー銀行前で午後7時から翌朝4時まで営業。ラーメン500円。0942(37)7279。
× ×
食の宝庫、福岡県は多様な「麺文化」が花開いた場所でもある。ラーメン、そうめん、うどんなど定番からちょっと変わったユニーク麺まで。麺食い記者が「一杯」を求めて県内各地を訪ねた。



麺食い記者が行く<2>ソース色 皿に盛ったラーメン
麺食い記者が行く<4>偶然誕生 ラーメンが具を挟む
麺食い記者が行く<5>中世博多 小麦肌の健康うどん
麺食い記者が行く<6>吉井素麺 「みずみずしさ」の謎
麺食い記者が行く<7完>アジア風 強烈個性、和と融合
