来来軒 純豚骨こだわり半世紀

車がひっきりなしに行き交う神埼市神埼町の国道34号沿い。市役所や郵便局などが立ち並ぶ通りに赤いのれんを下げた民家風の「来来軒」はひっそりとたたずむ。
創業は1961年。国道ができた直後で、周りは田んぼだった。「誰も車なんて持っとらん。1時間に1、2台しか通らんかった」。8人掛けのカウンター席しかない店内で貞島常男さん(73)はそう懐かしむ。
貞島さんは福岡県田主丸町(現久留米市)生まれ。15歳で働き始め、馬の売買で北海道に渡ったりと各地を転々。25歳の時、結婚を機に妻宣子さん(67)の実家がある神埼町に移り住み、自宅横で来来軒を始めた。ラーメンは一杯50円のぜいたく品だったが、町内に二つあった映画館の帰りの客でにぎわった。2人でお金を出し合って一杯すする高校生もいた。
本来、全くの素人だったが、当時少なかったラーメン店を食べ歩き、4年間の試行錯誤の末、今の味に近づいた。「ラーメンが好きだっただけ。一つのことに熱中する性格でね」と貞島さんは笑う。
味わいは純豚骨で野菜は一切使わない。やさしい味ながら、豚骨の風味が鼻を抜ける。火加減に気を使い、1日かけてスープをたくことで雑味を抑えている。スープの独特の透明感は、しょうゆではなく、自家製塩だれを使うためだ。
開業から半世紀。外食産業花盛りの今、付近にはチェーン店も進出してきた。商売は楽ではないが、親子2代で通い続けてくれる客もいる。
「この味はずっと愛されると信じている」。貞島さんの言葉にはラーメンと同様、人生の深みがある。
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博多、長浜、久留米に熊本…。今、B級グルメとしてご当地ラーメンが脚光を浴びている。風土や産物が凝縮したその一杯は、地域の食文化そのものとも言える。全国的には無名ながら、しみじみとした味わいでファン層を広げつつある佐賀ラーメン。佐賀市近郊の店を随時紹介する。
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●メモ
ラーメン500円、いなりずし70円。不定休(年間10日程度)。営業時間は午前11時半―午前0時。電話番号=0952(52)4890。
佐賀県神埼市神埼町田道ケ里2276
=2010/01/18 西日本新聞佐賀版 「佐賀市近郊ラーメン紀行」掲載=



「白濁豚骨ラーメンはこの店が発祥よ」




