幸陽閣 復活の老舗ラーメン

元の屋号は「幸陽軒」。佐賀市の歓楽街・愛敬町で深夜まで営業し、酔客の胃袋を満たしてきた。しかし、2008年3月、店主の川上悟さん(64)は約30年間愛され続けた店をたたんだ。「帰宅するのは朝8時すぎ。体が持たなかったんです」と人気店でありながら閉店した理由を語る。
程なくして国道208号沿いに「幸陽閣」を構える。ただ、焼き肉店としての再出発。使い続けていた羽釜(はがま)は捨て、ラーメンは出さなかった。それでも焼き肉を食べに来た客からたびたび要望が寄せられた。幸陽軒のラーメンが食べたい-。再開店から半年後、看板に「ラーメン」という文字を書き加えた。
もともとはラーメンとは無縁のサラリーマンだった。転機は24歳のころ。「自分で何かをやりたい」と脱サラを決意。「簡単かな」との軽い気持ちでラーメンを選んだ。甘かった。佐賀市の老舗店で4年間修業。1974年に佐賀駅近くに開業したが客はまばらだった。79年に同市大財に移転したのをきっかけにようやく人気店となり、その後、愛敬に店を移した。「同じ味を出すのは今でも難しい」と川上さんは試行錯誤を続ける。
大きめの器に注がれたスープをれんげですくう。濃厚でとろみがあるスープだ。口に運ぶと、豚骨の風味がストレートに舌を刺激し、鼻を抜ける。そして熱い。豚骨をぼろぼろになるまで強火で煮込むといい、骨から出た脂もスープに溶け込んでいる。だから冷めにくく、熱いのだ。飲み干すと底に大量の骨髄が残っている。川上さんは「使う豚骨の量が他店より多いからですね」とにやり。
軽い気持ちで始め、一度は作ることをやめたラーメン。しかし、今も厨房(ちゅうぼう)に立つ川上さん。「ラーメンがついてくるんです。もう逃れらないみたいです」とはにかんだ。
■メモ
ラーメン550円、卵入りラーメン600円、ロース980円、カルビ880円。定休日は月曜。営業時間は午前11時半―午後9時(焼き肉は午後6時以降)。電話番号=0952(24)5084。
=2010/04/19 西日本新聞佐賀版 「佐賀市近郊ラーメン紀行」掲載=




