―「Timeless Fly」は4年ぶりの新アルバム。どんな思いで作りましたか?
久保田 歌詞のために、今の思いや気になることを紙に書くと、なぜか「情」という漢字が目立った。情、優しさ、温かさ…そんな言葉に向かってアルバムを作った。今後いつ聴いてもいい作品になったのと同時に、例えば30年前のマイケル・ジャクソンが歌っていそうな曲がポンと入ったり、今ニューヨークのラジオでかかってもいいという曲もあったり、時代感が幅広いので、タイトルは「Timeless Fly」と。
―「情」というのは、それを感じにくい今への反動という部分もあったんでしょうか。
久保田 そうですね。さかのぼれば2001年に米国でテロがあり、そこから連鎖する利己主義がある。でもそこから始まったんじゃなく、その前からある利己主義も考えたり。そして景気が悪くなり、みんな自分のことでいっぱいいっぱいになる。そういうときだからこそ、優しさや情を考えたいなぁという思いは、よけいしますね。
―MISIA、KREVA、JUJU、小泉今日子…ゲストの方々が多く登場します。
久保田 日本での作品にほとんどゲストは入れてなかった。今回試しにKREVAとやったら、予想以上にやりやすくて勘がよくて、いい言葉もいっぱい持っていた。そんな人はたくさんいるんだろうな、って目を向けてみたんです。しっとりした曲で日本語のポエトリーリーディングをしたいと考えて。でも言葉を読むにしても、できるだけその人の人生や考え方が出てほしいし。そんな中、飲み屋で今日子さんと一緒になって、やっぱりキョンキョンかなと。ファンだしな、と。
―昨年6月に亡くなったマイケル・ジャクソンへのオマージュ(敬意)曲も。
久保田 彼がずっとやってきた、音楽を通して人種の壁をぶちこわし、音楽をやってる僕らに夢と勇気を与えたこと。かなり大きな「感謝」を形にしました。
―米国で出す英語の曲と、日本語の曲、作り方に違いはありますか。
久保田 以前は違わないようにしようと思って、R&Bだけではなく、日本でずっとやってきた、どこか僕のフィルターを通してポップさ、優しさがあるものを、米国で出したんですが、難しくて。もっとはっきりR&Bを作ってくれと。でも日本でそれをやると、限られた人しか聴くチャンスがなくなって、僕はそれは残念なので。だから日本のは、本来のスタイル、オリジナルで。
―8月は福岡市と鹿児島市でライブがあります。九州の印象は。
久保田 居心地いいです。いること自体が。ライブでも皆さん構えることなく楽しみを知ってるし。特に福岡は、米国で一番好きなサンフランシスコと似てる。言われませんか?
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久保田利伸(くぼた・としのぶ)さんは1962年、静岡県生まれ。86年にデビュー、日本の男性R&Bシンガーの草分け的存在。95年全米でもデビューし、2004年に米TV「SOUL TRAIN」に日本人歌手として初出演。今年2月に4年ぶりの新作を発売、6月から全国ツアーがスタートする。
=2010/03/21付 西日本新聞朝刊=